2010年09月10日
ケチャップを混ぜてよく焦がしたこと
「ギャルソン、アンコール!」山田氏は、とあるステーキレストランに入ってみた。
そこで注文してでてきたステーキは肉が分厚く、それでいて柔らかくジューシーで、最高の味だった。
法国性奴気を良くした山田氏は、後日、同僚をつれて再びそのレストランへ入った。
しかし同じものを注文したのにもかかわらず、でてきたステーキは肉は薄っぺら、堅くてパサパサで、最低の味だった。
山田氏はコックを呼びつけて怒鳴った。
「おい!昨日はもっと分厚くてジューシーで最高なステーキだったじゃないか!なんだって今日に限ってこんな最低なステーキを出すんだ!同僚の前で恥かかす気か!」
コックは答えた。
「先日お客様がおつきになったのが、大通り沿いの席だったもので??」あるレストランに4人の客が入ってきた。注文を取りにきたウエートレスに…
客1「300gのサーロインをミディアムに焼いてくれ。ソースはグレーヴィにケチャップを混ぜてよく焦がしたやつね。」
客2「おれはTボーンステーキ、両面ともよく焼いてな。ソースはサワークリームにしてくれ。」
客3「おれはハンバーグステーキ、つけあわせの目玉焼きは半熟で。」
客4「わたしはテンダーロイン、レアで焼いて。200グラムね。ソイソースにガーリック効かせたソースをお願い。」
みんなの注文を聞き終わったウエートレスは厨房にむかって言った。
「肉4つ!」あるレストランに4人の客が入ってきた。注文を取りにきたウエートレスに…
客1「300gのサーロインをミディアムに焼いてくれ。ソースはグレーヴィにケチャップ
を混ぜてよく焦がしたやつね。」
客2「おれはTボーンステーキ、両面ともよく焼いてな。ソースはサワークリームにして
くれ。」
客3「おれはハンバーグステーキ、つけあわせの目玉焼きは半熟で。」
客4「わたしはテンダーロイン、レアで焼いて。200グラムね。ソイソースにガーリック
効かせたソースをお願い。」
カプセル媚薬みんなの注文を聞き終わったウエートレスは厨房にむかって言った。
そこで注文してでてきたステーキは肉が分厚く、それでいて柔らかくジューシーで、最高の味だった。
法国性奴気を良くした山田氏は、後日、同僚をつれて再びそのレストランへ入った。
しかし同じものを注文したのにもかかわらず、でてきたステーキは肉は薄っぺら、堅くてパサパサで、最低の味だった。
山田氏はコックを呼びつけて怒鳴った。
「おい!昨日はもっと分厚くてジューシーで最高なステーキだったじゃないか!なんだって今日に限ってこんな最低なステーキを出すんだ!同僚の前で恥かかす気か!」
コックは答えた。
「先日お客様がおつきになったのが、大通り沿いの席だったもので??」あるレストランに4人の客が入ってきた。注文を取りにきたウエートレスに…
客1「300gのサーロインをミディアムに焼いてくれ。ソースはグレーヴィにケチャップを混ぜてよく焦がしたやつね。」
客2「おれはTボーンステーキ、両面ともよく焼いてな。ソースはサワークリームにしてくれ。」
客3「おれはハンバーグステーキ、つけあわせの目玉焼きは半熟で。」
客4「わたしはテンダーロイン、レアで焼いて。200グラムね。ソイソースにガーリック効かせたソースをお願い。」
みんなの注文を聞き終わったウエートレスは厨房にむかって言った。
「肉4つ!」あるレストランに4人の客が入ってきた。注文を取りにきたウエートレスに…
客1「300gのサーロインをミディアムに焼いてくれ。ソースはグレーヴィにケチャップ
を混ぜてよく焦がしたやつね。」
客2「おれはTボーンステーキ、両面ともよく焼いてな。ソースはサワークリームにして
くれ。」
客3「おれはハンバーグステーキ、つけあわせの目玉焼きは半熟で。」
客4「わたしはテンダーロイン、レアで焼いて。200グラムね。ソイソースにガーリック
効かせたソースをお願い。」
カプセル媚薬みんなの注文を聞き終わったウエートレスは厨房にむかって言った。
2010年09月03日
ピッチャーの高橋尚成の部屋を訪ねたこと
呆然とするキャディに 男は黙ってろなどといって済まなかった ひとつ教えてくれ『この穴の中のボールはどのクラブで取ればいいのかね?』アウトカウントを間違って、捕球したボールを外野スタンドに投げ入れてしまった巨人のレイサム。三體牛鞭悔やんだ彼は試合後宿泊先のホテルでピッチャーの高橋尚成の部屋を訪ねた。
レイサム「今日は迷惑かけて悪かったな。本当にスマン」
尚成 「いや、もう済んだことだし気にするな。
その代わり、次俺が投げる時はホームランでも打って
お返ししてくれよ!」
それを聞いたレイサムは陽気な笑みを取り戻し、
レイサム「OK!尚成が次投げる時はバットで必ず援護するよ!」
二人は部屋のドアの前で握手を交わした。
レイサム「で、尚成はいつから二軍に合流するんだい?」ヨギ、ベラ「ベースボールの9割は精神面だ。あとの半分は肉体だ」立教大学のキャンパスで長島茂雄は友人に会った。
長島「今何してるの?」
友人「見りゃ分かるだろ、フランス語のテスト勉強だよ。」
長島「その分厚い本は?教科書か?」
友人「これは辞書っていうんだ。フランス語の単語を引くと日本語で意味が載ってるんだ。」
長島「へえ、便利なものがあるんだな。英語にもそんなのがあったらいいのに。」トッティがチームメートにジグソーパズルを見せびらかし、「オレって天才だよ。たった3カ月で完成させたもんね。
普通にやれば、3年はかかるヤツなんだぜ」と自慢した。
ジグソーパズルの箱をみると「3years」の文字が。 ゴシップ誌がトッティの恋人とウワサされる女性の自宅に電話取材。
たまたま彼女の家に遊びに来ていたトッティが電話を取った。
「(恋人の)さんを電話口に出してよ」
「……」
「アンタは家族? トッティをどう思う?」
「……」
「なぜしゃべらないの?」
「トッティだから」 イタリアで話題の「アナタの悩みの50%が解消できる本」を購入したトッティ。胸を張って友人にこう言った。
「悩みを100%解消したいと思ったから、迷わずに2冊買ったよ」 トッティの彼女が「アナタの頭の悪さをバカにした話がはやってる。本でも読んで教養を身につけましょう。手始めにシェークスピアは? 読んだことあるでしょ」。
「もちろん読んだことあるさ。ただ、作者名がちょっと思い出せないんだよな」 国際電話をかけようとしたトッティ。かけ方をオペレーターに聞いた。
「それではまず、10番を押してください」
「あのー、悪いんだけどオレの電話、9番までしかないんだけど……どうしたらいい?」 彼女が猫を抱いてトッティ宅に。
「ねぇ、この小ネコちゃん、オスだと思う? それともメスだと思う?」
「ヒゲが生えてるからオスに決まってんだろ」狂の字がつくほどゴルフ好きのハリーが帰宅すると、怒れる妻が待っていた。
「あたし出て行きます。ハリー」
とげとげしい声で妻は言った。
「正午までには帰ると、あれだけ約束しておきながら、今何時だと思っ
ているの、夜の9時よ。18ホールまわるのにそんなに長くかかるわけ
がないでしょ」
「おい、待ってくれよ」
ハリーは言った。
「説明するからさ。おまえに約束したことは忘れたわけじゃないけど、
俺にも言い分はあるんだ。夜明け前に俺は出発して、おまえも知ってる
ように、フレッドを拾ったのが6時。ところが途中でタイヤが擦り減っ
てしまっているのに気がついた。交換し始めたら、今度はスペアタイヤ
も擦り減っているのに気がついた。そこで俺は3マイル歩いてガソリン
スタンドまで行き、タイヤを修理してもらって、こんどは帰り道をずっ
とタイヤを転がして戻って、車に取りつけた。ようやく車を走らせて、
4分の1マイルも行ったら、こんどはガス欠。俺はまたガソリンスタン
ドまで歩いて行き、歩いて車まで戻った。ようやくコースに着いて、プ
レー開始。初めの2ホールまでは快調だったんだが、第3ホールに来て
ティーアップしたところで、突然フレッドが発作を起こした。俺はクラ
ブハウスに走っていったが、医者はいない。フレッドのところに戻って
みると、やつはすでに死んでいた。だから、残りの16ホールというも
の、俺は、球を打っちゃ、イカオウフレッドをひきずり、球を打っちゃ、フレッ
ドをひきずり」最も簡単なスポーツは何か正解はゴルフ止まっているボールを動かない穴に入れるだけで、誰も邪魔をせず審判もいないし時間制限もなく前に転がすだけでいい。
2010年08月31日
鏡の前に物静かな自然の景色が広がったこと
仲間は再び鏡の部屋に戻った。椅子を見つけ、その背もたれに手鏡を固定して、鏡台の鏡と向かい合わせに置いた。再び、鏡の前に物静かな自然の景色が広がった。
「私はここに残るわ。」
チェルニーが意外なことを言い、その理由を続けた。
「ここを守る人間も必要でしょ?」
論理的なことならともかく、チェルニーは妖怪だの幽霊など得体の知れない物は恐ろしい。三便宝そんな所に行くぐらいならゴキブリや蛇の群れに身を投じる方がましだと思うのである。それを前提に役割を考えれば、たしかに、この場を守るという選択肢がある。
エレンがチェルニーを眺めて賞賛の声を上げた。
「へぇーーー。」
「何よ。」
「勇気があるなぁと思って、、、」
首を傾げるチェルニーに、エレンが語ってきかせた。
「いいこと? 大勢で居るからこそ、お互いを守れるし、化け物も手を出してこないの。それなのに、たった一人になったら、、、。」
エレンの言葉が途切れ、やや沈黙が続いた。チェルニーが想像を深める瞬間である。たしかに、化け物はあの入り口から逃げ去ったという証拠はなく、今も姿を消して、屋根裏にでも潜んで彼女たちの隙を窺っているかも知れないのである。
「あぁーーら。なんて美味しそうなお尻。」
エレンはチェルニーの尻の肉を指先でつまんで、何者かが噛み付いたらこんな感じだと教えた。一人になったら、得体の知れないものが現れて、チェルニーを襲ってむさぼり喰うといっているのである。
「わ、私も行くわよ。」
「了解!」
エレンは周囲の仲間たちをぐるりと見回した。すでに戦闘態勢にある彼女に比べて、この兵士たちは気概は欠けているようだが、贅沢は言えまい。順番を決めるまでもなく、マリアが好奇心に駆られるように鏡の入り口をくぐり、ジェスールが整理しかけていた荷物を再びザックに詰め込んで背負った姿で後に続いた。仲間たちは次々と不可思議な世界に踏み込んで、殿のチェルニーが入り口をくぐった。
エレンは慎重に背後を振り返って確認した。手鏡が鏡台の鏡と向きあうように椅子の背もたれに固定してあるかぎり、この出入り口が閉じることは無さそうだ。
「風が」
マリアはそう言ったが、感じるものは空気の流れとしての風ではない。何やら寂しげな感情が、さほど密ではない木立の中を吹き抜けてくるのだが、誰も気付いては居ないようだ。木立とはいえ、ある程度の見晴らしも利き、その木立もすぐに抜けてしまった。目をこらして空と地の境目を辿っていくと、山並で周囲から隔離された盆地のように見える。珍しい景色ではない。彼らが住む大阪でも見晴らしが利く場所で周囲を見回せば海側を除く周囲に空を隔てる山の稜線が見え、その稜線から手前に人々の存在を象徴する田畑や家々が並び、そんな景色は小鳥のさえずりや風に弄ばれる葉が触れあう音を伴っている。
この世界に入り込んだ彼女たちが抱く違和感は、そんな現実との違いである。人の気配を感じる人工物が無く、獣の気配や小鳥のさえずりはもちろん虫の声すら聞こえない。
その孤独な風景に反して、前の景色は彼女たちの感情に共鳴するものがあり、人々を優しく包み込む自然の原風景となっている。
そして、彼女たちが目に見える光景の違和感と同時に一種の心地よさを感じているのは、何かの脈動を全身に感じ取っているからである。ただ、耳に聞こえる音ではない。耳を澄ますように精神を良く澄ませてみると、周期的に脈打つような音で、祭りや神楽舞の太鼓のようにも聞こえるが、それは自然に彼女たちの鼓動と連動するようで外部からの刺激だと気付かないでいる。耳を澄ませ心を澄ませ、失いかけた細い記憶を辿れば、彼女たちが胎児の時に聞いた母親の鼓動に近い。
「さて、360度、どちらを見渡しても目標、見えないね。」
ヨゼフはしゃがみこんで視線を地面に近づけた。うっすらと苔が生えた地面の一部に土が露出している。そこに生き物が苔を踏みしだいて土が露出した形跡を探ったのである。むろん自然に苔が生えていない部分もあり、ヨゼフはそんな形跡の中から女の形跡だけを探った。
「やっぱり、、」
と、エレンは独りごちた。この世界について何か分かったことでもあるのかと期待を込めて仲間は一斉にエレンを注視した。
「ロビンフッドって矢の入ったクイーバーを背中にしょってるじゃない?」
「それが?」
「ネイテイブアメリカンも、日本の侍も、シューターは共通して矢を背負ってるの。」
「だから、それがどうした?」
「アーチェリーは矢を腰から下げてるのに、どうしてロビンフッドは矢を背負うのかなって。」
「それで、、、」
「腰から太ももに下げるのって競技では弓を操作するのに集中できるのよ。でも、ロビンフッドのように背負った方が実戦的。」
エレンが気付いたものはこの世界の情報ではないらしい。エレンはクイーバーに手を加えて背に背負った。
ジェスールはザックの側面につるした磁石で慣れた手つきで方向を確認した。そして、こんこんと指ではじいた。使い慣れて信頼しきった磁石で、針は軽やかに動いているが、その示す先が定まらない。周囲を見回したが、針を乱すような地質ではなく、無論、磁石が意味を成さない極地点でもない。
右手に背丈が際立って高い林が見え、彼らはその林を抜け、林を背にして歩いていたはずだ、ふと気づいてみると背にしていた林が右手前方に見えるのである。方位が意味を成さない世界である。
時計を確認すると、彼らがこの世界に入り込んだのは夕刻だったはずで、時計の針は午後7時前だが、陽が中天にあるかのように明るい。しかし、全天に渡って晴れ上がって、隠れるところのないはずの太陽は見えない。ジェスールはトレッキングをする者の習性として太陽の位置を確認しながら歩いているのだが、ジェスールの記憶では影の長さは変わらないのは、この世界で時間が経過していない証拠である。しかし、そもそも太陽が無く全天の光に照らされていてどうして地面にくっきりと影が生じているのだろう。方向だけではなく時間にも意味が無い世界らしい。
「かぁごめ、かごめ・・・・・」
小さくささやくような子供の声が聞こえたかと感じた直後、
「ああっ、、、」
チェルニーのそんな驚きの声も、全身から力が抜けきって口をついて出ない。チェルニーは地面にしゃがみ込んでしまっただけである。見回すと、仲間もまたしゃがみ込み、体調管理に自身のあるエレンは自分の身に起きたことが理解できないように足の筋肉を撫でている。
「これは・・・」
初めての体験にそう呟くエレンに、同じように膝を抱えてしゃがみ込んだマリアが力なく言った。
「餓鬼憑き・・・行き倒れになった旅人や餓死者の怨霊だわ」
以前、読んだ妖怪にまつわる書籍に、そんな妖怪が祟りをなすことがあると記載されていた。突然にしゃがみ込んでしまうほど力が抜けるという経験は初めてだが、何故かその名を思い出したのである。
ジェスールはこの種の経験をトレッキングの中で経験していた。長期の山歩きで体力を失うと食欲も失せる。朝食を取らないまま山を彷徨していると、突然にこの種の現象に襲われる。
「怨霊ですって?馬鹿を言わないで・・・」
チェルニーはそう言った。運動生理学か何かの書籍でこの種の症例を読んだことがある。
「何か食うものはないか」と、ジェスールは体験に基づいていった。
「何か食べればいいのよ」と、チェルニーは医学的見地を語った。
「とりあえず、食事にしましょう。」
マリアはバスケットを開けた。日本の民話ではこういう場合は何かを食べればいいのである。マリアは仲間のためにおにぎりを作ってきている。それを分配した後、時間を感じさせないこと世界で、自分たちが空腹を感じる程度の時間を彷徨っていたことを実感した。
「ありがとう。」
ジェスールはそう言っておにぎりを受け取ったが、大きさが彼の体格と比べていかにも小さい。しかし、そんな苦情ではなく、マリアがおにぎりを取り出した藤のバスケットを見て思いついたことがある。彼はザックから水の入ったペットボトルを取り出した。エレンに飲まれて、こぼされて、残りは三分の一ばかりに減っている。ジェスールはペットボトルをマリアの籠に押し込んで言った。
「預かっておいてくれ。」
化け物との戦いが予想される。正面を切って戦うとすれば自分とエレンとヨゼフになるだろう。戦いの最中にペットボトルの水を使う余裕はあるまい。誰かに託して使わせるとしたら、のほほんとして恐れを知らないマリアに任せるべきだと結論づけたのである。マリアは荷物を受け入れて手提げのバスケットにしまい込んだ。
「誰か、子供の声を聞かなかった?」
チェルニーは仲間にそう尋ねたが、肯く者はない。やはり自分の空耳かと思いこんでおにぎりを頬張った。しかし、あの子供の声がきっかけでここにとどまっているような気がし、何やら子供たちが自分たちの行く手を邪魔しているような推察に致るのである。
エレンがマリアに不満げに尋ねた。
「何、コレ?」
「おにぎり・・・」
おにぎりという日本のファーストフードはエレンも知っているし、エネルギー補給の食品として便利だと評価してもいる。しかし、エレンが聞いたのは齧ったときに中から出てきたペーストである。
「中に入っているのは何よ。」
エレンが手渡されたおにぎりは、表面の塩の味わいは確かにおにぎりだが、かじってみるとねっとりと濃厚な甘いペーストが出てくるのである。それが塩味の付いたご飯と違和感がある。
「あらっ、、アメリカ人なら、ピーナッツバターでしょ?」
マリアは当然のように言った。アメリカ人はピーナッツバターを好んで食すという偏見を持っているのである。この女は悪気はないのだろうが、どうも独自の信念があって、それを押しつける。思わず笑いが広がった仲間の中で、チェルニーが唇に人差し指を当てて静かにしろと指示をした。
「静かに、何か聞こえるわ。」
チェルニーが立ち上がって耳を澄ました。確かに、木立を駆け抜ける風の音に混じって何かのメロディが聞こえるのである。
「子供が歌ってるようだね。」
風の中から音を選別してみると確かに、子供の声がメロディを奏でているが、その歌詞とメロディは 聞き取りずらい。
「子供の声がするなら、和ちゃんもいるかも知れない。」
とアダムが言った。
「慎重に進みましょう。私たちをおびき寄せるトラップかも知れない。」
エレンの言葉にチェルニーが応じた。
「注意してね。」
そんなチェルニーとエレンの言葉に、応じるマリアの口の中には食べかけのおにぎりがあって言葉を発することが出来ない。マリアは二人の意見に首を振って否定し、咀嚼したものを水筒の水でのどの奥に流し込んだ。
「行く必要ないわ。」
「どうして?」
「だって、向こうから近づいてきてるもの。」
耳をすませると、確かにマリアの言うとおりである、僅かながら聞こえるメロディが大きくなってきているようだ。
「ややこしい世界ね。音がどちらから聞こえてるのか分からない。」
「素直に耳を傾けばいいの。どちらか分からないんじゃないの。」
「えっ」
「どっちかじゃなくて、」
全周に耳を傾けたマリアの言葉の深刻さにエレンが言った。
「それじゃ、既に敵に囲まれて、包囲攻撃を受ける危険があるってことよ。」
「かーごめ かごめ 」
マリアが突然に歌詞をメロディに乗せて呟いたので、仲間は驚いて立ち止まり彼女を注視した。
「どういう意味?」
図寝るチェルニーにマリアが答えた。
「どぉって、、、”囲んだ”って歌ってるのよ。」
「アパートで携帯電話に聞こえた歌だね。がごめかごめの遊び歌か。」
アダムが情報をそう補足した。
「ちょっと、どこに行くつもり?」
エレンは声の方向に歩こうとしているマリアの首根っこを捕まえて引き戻した。
「だって、子供の声よ。」
「油断させるためにトラップによく使う手よ。」
とエレンは言い、アダムに説明の続きを求めた。
「続けて、今は何でもいいから情報が欲しいわ。」
状況は何やら変わり始めているようだ。僅かに風に乗ってきたメロディが、ややはっきりと聞こえるようになっているばかりではない。周囲を探って耳を澄ましてみれば、エレンたちの周囲、大人の背丈ほどの草の茂みのあちらこちらから、ぴっんと飛び跳ねるように子供たちの顔が見え隠れしている。見え隠れする子供たちの頭を辿ってったチェルニーが言った。
「確かに、私たち、子供たちに囲まれてるんじゃないかしら」
「かーごめ かごめ かごのなかの とりぃは いついつ でやぁる よあけのばんに」
単調なメロディにのなかに、男の子や女の子、幼児から少年少女といっても良い年齢層、無数の子供たちの存在を聞き分けることができる。およそ1メートル二十センチの背丈の草が密に生い茂る草原であり、その草原に背丈が隠れてしまう子供たちである。時々、こちらを覗うように飛び跳ねて草の穂から見え隠れする顔の位置を確認すれば、数十人の子供たちの輪は縮まって、今はエレンたちから半径20メートルほどの距離を置いて彼女たちを囲んでいるらしい。
「みんな子供だ。脅かしちゃいけない。」
ジェスールは仲間を制して子供たちに語りかけた。
「君たち、どこから来たの?お兄さんたちと、お話をしないか?」
子供たちの歌声が一斉にやんだ。その静けさが不安感を煽る。
「何か相談をしているのかしら」
その時に、かさっ、と、草をかき分ける音がし、一人の少年がチェルニーの目の前に姿を現した。歳は十歳ほど。深刻なほど思い詰めた瞳で、チェルニーを見上げていた。更に、物音がして、和ちゃんほどの年齢の女の子が姿を見せてヨゼフに向きあった。茂みをかき分ける音は続き、数十名ほどの子供たちが、仲間の元に姿を現した。
「トラップだわ。」
エレンが叫んだ。一人の子供が背に隠していた棒を取り出して、鋭く振り上げてアダムを襲ったのである。子供たちは彼らを油断させて、接近してきたところをいきなり棒を持って彼らを攻撃して来たのである。こどもたちはどこからともなくわらわらと沸いて出てくる。しかし、非力な子供たちのことで殴るというより叩くという表現が似つかわしい。
「相手は子供よ、傷つけないようにね。ぎゃっ・・・・・・・・。」
エレンが苦痛で顔をしかめた表情を怒りに変えて背後を振り返った。一人の女の子が竹の棒で彼女の尻を横に打ち据えたのである。非力な子供とはいえ、痛い・・・・・。
エレンは痛みの腹立たしさに有効な反撃の出来ない腹立たしさを加えて少女を睨んだ。
ひっ・・・・
イーリーシン
少女は小さく悲鳴を上げ驚いたように凍り付いた後、大きく開いた目に溢れそうに涙を浮かべた。そんな表情をされるとエレンがこの子を虐めていたような状況になる。エレンたちは反撃するのだが、反撃していて非力な子供たちにこんなことをして良いのかと罪悪感に襲われた。子供たちの目は真剣で、涙目になりながら攻撃を加えてくる。子供たちを傷つけることは出来ずに防戦一方で、避けきれない一撃を受けて悲鳴を上げ続けながら撤退を決意したとき、マリアの声が響いた。
子供たちを見つけて、持っていたおにぎりをわけて一緒に食べようとしたのに、攻撃に転じた子供たちのせいで、手にしたおにぎりが地面に転がり踏みつけられてしまったのである。
「こらぁーーーー。」
腹の底から怒りを噴出したマリアの声が響いた。子供たちはいっせいに静止した。
「食べ物を粗末にする子は、母さん、お尻をぶつわよ。」
母親の怒りに触れたような声に今まで攻撃を諦めなかった子供たちが静止したまま、すまないことをしたと反省する様子を見せた。マリアは悪戯が過ぎた子供を叱りつける目でじろりと子供たちを睨んだ。子供たちは互いの顔を見合わせ、マリアの顔を窺って逃げるように姿を消した。仲間はぽつんと取り残されたよう。
防御に息を切らせていたエレンは腑に落ちないようにマリアに言った
「ありがと。よく分からないけど、あなたがやったらしいわね。」
そう言いながら、物陰に一人の男の子を見つけた。年齢は小学生ぐらい。反抗期の生意気盛りと言ったところか。急な状況変化に一人だけ逃げ遅れてしまったのである。
エレンはふと、マリアを真似てみることにした。彼女は両膝に手を当てて姿勢を低くして男の子と視線の高さを合わせて言った。
「イタズラばかりしてると、お尻をぶつわよ。」
母親になったつもりで言った言葉に反応して男の子は握った拳を解いた。なるほど、こうすればこの子供たちは攻撃の意志を失うのである。エレンはこの状況に念を押すようにジェスールを振り返った。その瞬間、エレンは苦痛に表情を歪めて脛を押さえてかがみ込んだ。エレンの油断を察知して、男の子はエレンの脛を蹴り上げて逃げたのである。
走り去った物音を追って視線をやった先に、男の子は既に姿を消していた。再び仲間を振り返ると、理解できないという様子でぽかんと口を開けた表情を並べていた。その視線はエレンを飛び越えて、男の子が姿を消した先を見つめている。身の回りの混乱が収まってエレンと男の子のやりとりを観察していた。男の子が背を向けて逃げ出す様子が見えたのだが、その様子が異様だった。藪をかき分けて姿が見えなくなったわけではない。男の子の姿が透明になり周囲の景色に溶け込むように姿を消したのである。確認するように周囲を見回せば、先ほどの数十人の子供たちが藪をかき分けて逃げ去った跡はなく、仲間を攻撃するために振り回した棒が茂みの草の葉や茎をなぎ払った形跡もない。ただ、6人ばかりの大人が子供の攻撃を避けて暴れ回って踏みしだいた地面の跡、そして、子供たちに打たれた傷の痛みが残っているだけである。
冷たい風がかき消すように、子供たちの気配はもともと存在しなかったかのように消滅した。
「あのクソガキ!」
エレンは脛を押さえてそう言ったのを温厚なジェスールが制した。子供たちを指し示す言葉としてクソガキとはちょっと表現が過ぎるだろう。
「じっとしていられないね。先へ進もう。」
「クォ・バディス。」
ヨゼフの言葉にアダムはそう呟いた。ポーランド人作家の著書の題名でもあり、ヨハネによる福音書の引用でもある。
(どこへ行くつもりか)と、アダムは仲間に問うているのである。
方向を定める地形がないまま、彼らは方向を見失っている。ジェスールの磁石などはとおに役に立っていない。
マリアが何かに気付いたように目をつむったまま、同じ位置でぐるりと回った。スカートの裾がふんわり膨らむ勢いである。そして、一方を確信を持って指差した。
「あちらよ。」
「どうして分かる?何も目標は見えないぞ。」
「風。」
そう言いながら今度は口ごもった。表現が適切ではないような気がする。空気の流れではない、が、空気が流れるように一方から、寂しさ、悲しさ、苦しさ、嫉妬に似た腹立たしさ、そんな苦痛の感情が入り交じり強さを様々に変えて流れて来て、彼女たちに方向を与えているのである。
「本当、、、」
目をつむって周囲を感じ取りながらぐるりと回ったチェルニーはマリアに同意した。
「確かにそうね。」
エレンも自ら試してみてそう頷きながら、3人の男たちの様子に首を傾げた。
「貴方たち、何やってんの?」
「何も感じないよ。」
「鈍い人たちね。」
女性たちが自信満々で言うので、男たちも彼女たちが指し示す風上に向かうことに同意した。それは子供たちが姿を消した方向でもある。
目標物が見えない、かといって地平線もまた見えないまま、遠くの景色は霧がかかったようにぼやけている。エレンが仲間を見えない目標に先導するように前方を歩いている。
「足下が見えないから気をつけて。」
エレンが注意したとおりである。道は既に絶え、エレンたちは腰の高さほどの草が生い茂る草原に踏み込んでいて足下がおぼつかない。しかし、流れてくる悲しさの感情は強まり続けており、進む方向に間違いは無さそうである。
「ちっ、」
突然の舌打ちと共に、エレンの姿が草の穂の波に沈んで消えた。背後にいた仲間には、エレンが危険を感じて伏せたようにも見える。皆、慌ててしゃがみ込み、しゃがんだままエレンに歩み寄った。エレンが地面に倒れ込むように伏していて、草をかき分けて地面を指差して見せている。
「きゃっ・・・・・」
そんな悲鳴でチェルニーが倒れ込んだため、仲間はその指差す物の意図を察した。トラップである。二株の草の穂先が結ばれていて、地面に草の輪が出来ている。先にエレンがつま先を引っかけて倒れたのと同じ草の輪が、ここ彼処に散見された。もちろん人工的な工作物である。
「あの子たちのイタズラね。」
「この程度で良かったね。オレなら、敵が引っかかって倒れたところを狙って2つめのトラップを仕掛けておくね。」
ジェスールが倒れた仲間を励ました。
「例えば、あれ?」
マリアが慌てて身を避けるのが見えた。アダムが足に引っかけたロープに結ばれた頭上の籠からトゲの付いた栗の実がいくつも転がり落ちてきたのである。彼らは悲鳴を上げて逃げたが全てを避けることは出来ない。
「あのクソガキどもにも、この程度の知恵があったってことだな。」
普段は温厚なジェスールが、栗のイガでこめかみ辺りに血を流してそう言った。むろん軽傷だが、イタズラを仕掛けた子供たちと、あっさりひっかかった自分に腹を立てている。ヨゼフが気付いて言った。
「でも、あの子たちの心理を読んでみると良いよ。守りたいものに侵入されたくないからトラップを仕掛けてるんだね。」
「どういうこと?」
「1つ、間違いなくこの先に何かがある。2つ、大事な物を守りたければこの先にも子供たちはトラップを仕掛けている。」
「トラップがあることが分かってさえ居れば、避けるのは簡単よ。」
「足下に注意しろよ。」
チェルニーは足を止めた。両端の灌木に道が狭められており、その狭い道幅に掘ったのか泥水の水溜まりがある。四角く掘り抜いた穴は自然現象ではなく人工物だと分かる。そして四方が数十センチという可愛らしさは、子供が一生懸命に作ったのだろうと思わせるのである。
「この水溜まりはトラップのつもりね・・・・・私たちを泥だらけにしようっていうのかしらね。」
彼女は笑って水溜まりを飛び越えて、悲鳴を上げた。
「どうした?」
「・・・・・・・。落とし穴に落ちただけよ。」
チェルニーは転んで付いた泥を払いながら、努めて平静を装ってそう言った。水溜まりを飛び越えるということを想定した上で、着地点に落とし穴が掘ってあったのである。
「気をつけろって言ったろ。」
アダムはそう言ったが、次の瞬間にしなやかな木の枝に腰を打たれて顔をしかめた。見れば、木の枝を撓らせて固定し、足下のロープに引っかかった瞬間に枝が元の元の位置に戻るという単純なトラップだった。
イタズラに引っかかり続ける仲間も問題だが、子供たちのこのしつこさはどうだろう。
「この先に進んではいけないということかしら、」
マリアがぽつりとそう言った。
仲間が被ったトラップの数々は、いかにも子供が仕掛けたイタズラレベルのもので、その結果には怒鳴りたくなるものの、仲間の命には別状はない。このイタズラに、お尻を叩く程度のお仕置きはしてやるにしても、子供たちに本気で腹を立てるのは大人げない。
しかし、草の輪のトラップの草は未だ生き生きとした緑だった。もし、この世界に仲間たちの世界の常識を当てはめれば、以前からそう言う具合に設置してあったトラップならとおに草は枯れ果ててしまっているだろう。仲間たちが遭遇するとラップの数々は、あの子供たちが彼らの行く手を阻もうとして、必死に設置しているようにも見える。その必死さが、何か不憫にも感じられるのである。
エレンはふと気付いた。この世界に来てから、彼女たちは子供たちのトラップにひっかり続け、服は落とし穴の泥で汚れ、頭上から落ちてくる落下物に悲鳴を上げている。
なのに、マリアとヨゼフ、あの二人ののほほんとした姿はどうだろう。マリアがトラップを避けているのは、彼女の悪運の強さにみえる、しかし、ヨゼフは理論立てて説明することは出来ないようだが、周囲の気配に注意深く、危険を避けているようだ。それは、野生の勘と呼んでも良い。
「前方偵察!。」と、エレンはヨゼフに言った。
ヨゼフは笑った。エレンはようやく自分の特徴に気付いたらしい。エレンというのは主力部隊であって偵察には不向きに違いない。そのヨゼフも子供達について考えている。
証拠を挙げろと言われれば根拠がない。しかし、子供たちが襲ってきたときに、マリアと自分だけが攻撃の対象にならなかったのは何故だろう。マリアと自分には共通点がある。 あの化け物を敵と感じて行動する仲間の中で、女に害意を感じずにいるということだ。
「ちょっと待ってるね。」
ヨゼフはそう言い置いて軽々と身を翻して駆けだした。
少し進んで振り返って地面を差し、
「そこ、落とし穴がある。」
と、仲間に注意を促した。野生の勘は効を奏して、仲間は無事に前進した。
「おぉーーーい。」
ヨゼフが長い腕を振って手招きをして仲間を呼び寄せた。
仲間の目前に湖が広がっている。
背丈ほどの草が生い茂る視界の利かない草むらを抜けると、突然に出現したという景色である。湖面は凍りついたように澄み渡っており、時折、そよ風が作りだす細波が無ければ、空を映す鏡にみえる。ヨゼフはすでに水辺に屈みこんで手の平に一すくいの水をとり安全性を確認するように匂いを嗅ぎ、口に含んだ。よく澄んだ水で、僅かに地の香りがする。
ジェスールも屈んで指先を浸し、更に、ハンカチを澄んだ水に浸してきつく絞り、首筋の汗をぬぐった。マリアは水筒の蓋を開けた。ヨゼフの様子から飲用できると見て、残り少なくなった水を補給しようとしたのである。マリアは湖の透明感を確認して、水筒を持った手を水面に漬けた。
こぽり、こぽりっ、、
水筒の口は泡を吐き出して水を飲み込んでゆく。
突然に、マリアはその指先に凍りつくような痛みに似た恐怖を感じた。その恐ろし気な感覚が収まりきらず、彼女は手にした水筒を投げ上げるように放りだして、自らの胸を抑えてうずくまった。
「衛生兵(メディック)!」
マリアの体に異変を感じ取ったエレンがチェルニーを呼んだ。
「誰が、衛生兵よ。」
チェルニーは心の中で毒づいた。見たところ、マリアに緊急を要する外傷は無く、目を大きく見開いて無表情になっていて、精神的なショックを受けたようだが、回復して表情を取り戻しつつある。
チェルニーは小刻みに震えるマリアを抱きしめていたが、マリアは安堵したように自ら起き上がった。チェルニーはタオルを持ってマリアの側を離れた。冷や汗をかいているマリアの額を、冷たくぬらしたタオルで拭いてやろうと思ったのである。
「ちょっと、彼女を支えていて。」
チェルニーは、まだふらついているマリアをアダムに預けた。タオルを湖の水につけてすすいだ瞬間、声にならない悲鳴を上げてチェルニーもまた、電気にでも撃たれたようにのけぞって倒れた。
「どうした、チェルニー。」
アダムの問いかけに、倒れ込んで声を発することが出来ないチェルニーの代わりに、マリアが答えた。
「水が、水が、、」
言葉がとぎれがちで意味をなしていないのは、発する単語を探して、戸惑っているからである。あの衝撃、あの心の痛みをどう表現すればよいのだろう。
「水の中に何か居る?」
ヨゼフはそう推察して湖をのぞき込み、試しに水面をかき混ぜてみた。まったく異常が無く、二人が倒れた原因が分からない。ジェスールとアダムも湖をのぞき込んだが、澄んだ水に異常は見つからない。縁から中心部に向かって遠浅に深さを増すという湖のようで、湖面に映るアダムの顔に、滑らかに深くなって行く湖底の斜面が見えている。手前の光の届く湖底から中心部に目を移してゆくと、湖に吸い込まれるかと思うような目眩に囚われるが、それだけである。既に湖の水を口に含んだヨゼフ、水に指を浸して香りを嗅いで異常を探るジェスール、そしてアダム自身にも、マリアやチェルニーほど即効的な変化はない。ふと、アダムは考えた。
「これは仮説だが、、、 」
そう語り始めるアダムに仲間の視線が集まった。
「この湖の水に触れると、男は変化は無い、しかし、女は、、、。いや、あくまでも仮説だけどね。」
異常を感じるマリアとチェルニー、全く異常を感じないジェスールとヨゼフとアダム、このグループの違いを考えれば明らかに、性別によって差が出るのではないかというのである。
「それが?」
と、エレンは仲間を見回して聞いた。
仲間の視線がアダムから自分に向いているのに気付いたのである。男たちは、お前は女かと問うている視線である。
「あんたたちは、私が女だと証明するのに触ってみろと言ってるわけね?いいわ、触ってやろうじゃない。」
そう言いつつ、エレンは湖のほとりにしゃがんだ。そして、そっと指を伸ばしてさぐろうとした。マリアやチェルニーのように突然ではなく、何かあるかもしれないと心の準備は出来ている。
しかし、水面に指を伸ばしかけたエレンは、勘良く察して、振り向いて背後のマリアに言った。
「こらっ、、、」
マリアがエレンの背後から背を押すポーズで固まっている。岸辺の水深は深くは無い。しかし、こんな体勢でマリアに背を押されたら、エレンは腕はひじの辺りまで、そして顔は水面にどっぷり浸けてしまうだろう。マリアは先に感じたものから、指先をほんの少し浸ける程度ではなく、この湖に秘められた感情を十分に感じ取る必要があると思ったのである。
「誰か、この・危・険・な・女、抑えといてくれる?」
チェルニーがマリアの腕をつかんだのを確認して、エレンは再び湖面に指を伸ばした。たしかに、チェルニーとマリアはこの湖に触れて異常を感じたようだが、すでに回復している、ショックは大きいのかもしれないが回復は早い。彼女はそう冷静に読んでいる。
中指の指先に水を感じたが変化が無い。
「うんっ?」
変化を感じないのが不思議な感じがする。指先が触れる水先に静かに波紋が広がった。指先で何かを探るように動かすにつれて波紋が幾重にも広がったエレンに変化は無い。
この時、湖面に風が吹きぬけた。さわやかな涼風といってもいい。この湖の持つどんよりした重いイメージの対極にある風が、エレンの髪を撫でた。
「えっ?」
エレンの指先を中心に広がっていた波紋が、ゆるりゆるりと縮まっているようにみえたのである。むろん自然現象としては見かけない光景である。
その変化は急速に速度を増し、エレンが湖面から指を離すまえに、彼女の指先に収縮した。
「お母さんっ!!」
エレンは天を仰いで言葉を吐き出すように叫んだ。彼女自身が叫んだわけではない。湖の底深くから伝わってきた感情が彼女の口を借りて空に向けて噴出したのである。
彼女は頭をしっかり抱えてうずくまった。呼吸を忘れるほどに胸が悲しみの感情で切なく彼女は両手で胸を押さえた。
「あっ、、泣いてる。」
ジェスールがそう口にした。勝気なエレンの涙が信じられなかったのである。
「うるさいっ」
エレンは拳でジェスールの胸を叩いた。しかし、理由は良く分からない。頬を伝わる涙が恥ずかしくはなく、自然なことのように思われるのである。
「んっ?」
突然、マリアは皆の視線を浴びているのに気づいて、ペットボトルの蓋を閉めた。泣いたせいかのどが渇いたのだが、先ほど自分の水筒は、湖から受けたショックで放り投げてしまって水が地面にこぼれて水残っていない。ジェスールに与えてもらったペットボトルを思い出して飲んでいたのである。
誰かが飲みなさいと囁いたような気もする。
エレンが声にならない叫びを上げてマリアからペットボトルを奪い取った。
「どうするのよ、コレ。」
エレンがマリアの目の前で振ったペットボトルには、底に一口か二口分が残っているだけである。あの化け物に対抗すべき有効な手段が、たったそれだけしか残っていない。マリアはやや非難を込めた目でエレンを見た。マリアも反論したくなる。最初に半ば近くを飲んだのはエレンのはずだ。非難を目つきで返されるとエレンも後ろめたい。ジェスールがペットボトルを奪い取って、背中のザックにしまい込んだ。
「預けたのは俺だ。あとはオレが預かる。」
マリアはふと何かを感じて、口元から喉へと指先を滑らせた、体内に流れ込んだ水は、喉から胃の腑、胃の腑からヘソの辺り、そこからまるで子宮に落ち着くような感覚で、彼女の体内を通った。お腹の中がほんのりと温かい感じがし、女性として生まれた幸福感が全身に広がった。
「アレじゃないか?」
ヨゼフがやや背伸びをして目をこらす方向にも他の仲間の視線が集まった。その景色は水面を流れる霧にぼやけてしまっている。最初は、その建物が湖の中程に浮かんでいるように見えた。湖を薄く覆う霧の上に覗くのは、古い日本家屋の屋根である。遠目に見ても粗末な家屋ではない。しかし、霧が淡く薄れるように晴れてみると、壮麗壮大と表現するにも及ばない質素な白木造りの一軒家である。人の存在を暗示する物が湖の向こうに見えている。
「あれね。」
と、エレンが和ちゃんとあの女の存在場所だという意味を込めて言った。仲間は肯いた。ここまでの道程で人の気配を感じる建築物は他に無く、女が発したに違いない感情の流れに逆らってここまで辿ってきた。あそこに女と和ちゃんが居るという確信があった。
「湖の周囲を回って、あと、20分というところか。」
ジェスールがその距離を評した。催淫 不思議なことに、今までどの程度の距離を歩いたのか、仲間には全く実感がない。子供たちの妨害の数々を考えればずいぶん長い道程だったような気がし、ここであの一軒家を眺めれば入り口からここまでほんの一瞬だったような気もするのである。しかし、目標を捉えて距離を考えればジェスールの判断通りだろう。エレンはその判断に修正を加えた。
「駆け足!、10分後にあの門から突入するわよ。」
言い終わる間もなく駆け始めたエレンを見て、顔を見合わせた仲間は仕方がないと肯きつつ、エレンの後を追った。
「私はここに残るわ。」
チェルニーが意外なことを言い、その理由を続けた。
「ここを守る人間も必要でしょ?」
論理的なことならともかく、チェルニーは妖怪だの幽霊など得体の知れない物は恐ろしい。三便宝そんな所に行くぐらいならゴキブリや蛇の群れに身を投じる方がましだと思うのである。それを前提に役割を考えれば、たしかに、この場を守るという選択肢がある。
エレンがチェルニーを眺めて賞賛の声を上げた。
「へぇーーー。」
「何よ。」
「勇気があるなぁと思って、、、」
首を傾げるチェルニーに、エレンが語ってきかせた。
「いいこと? 大勢で居るからこそ、お互いを守れるし、化け物も手を出してこないの。それなのに、たった一人になったら、、、。」
エレンの言葉が途切れ、やや沈黙が続いた。チェルニーが想像を深める瞬間である。たしかに、化け物はあの入り口から逃げ去ったという証拠はなく、今も姿を消して、屋根裏にでも潜んで彼女たちの隙を窺っているかも知れないのである。
「あぁーーら。なんて美味しそうなお尻。」
エレンはチェルニーの尻の肉を指先でつまんで、何者かが噛み付いたらこんな感じだと教えた。一人になったら、得体の知れないものが現れて、チェルニーを襲ってむさぼり喰うといっているのである。
「わ、私も行くわよ。」
「了解!」
エレンは周囲の仲間たちをぐるりと見回した。すでに戦闘態勢にある彼女に比べて、この兵士たちは気概は欠けているようだが、贅沢は言えまい。順番を決めるまでもなく、マリアが好奇心に駆られるように鏡の入り口をくぐり、ジェスールが整理しかけていた荷物を再びザックに詰め込んで背負った姿で後に続いた。仲間たちは次々と不可思議な世界に踏み込んで、殿のチェルニーが入り口をくぐった。
エレンは慎重に背後を振り返って確認した。手鏡が鏡台の鏡と向きあうように椅子の背もたれに固定してあるかぎり、この出入り口が閉じることは無さそうだ。
「風が」
マリアはそう言ったが、感じるものは空気の流れとしての風ではない。何やら寂しげな感情が、さほど密ではない木立の中を吹き抜けてくるのだが、誰も気付いては居ないようだ。木立とはいえ、ある程度の見晴らしも利き、その木立もすぐに抜けてしまった。目をこらして空と地の境目を辿っていくと、山並で周囲から隔離された盆地のように見える。珍しい景色ではない。彼らが住む大阪でも見晴らしが利く場所で周囲を見回せば海側を除く周囲に空を隔てる山の稜線が見え、その稜線から手前に人々の存在を象徴する田畑や家々が並び、そんな景色は小鳥のさえずりや風に弄ばれる葉が触れあう音を伴っている。
この世界に入り込んだ彼女たちが抱く違和感は、そんな現実との違いである。人の気配を感じる人工物が無く、獣の気配や小鳥のさえずりはもちろん虫の声すら聞こえない。
その孤独な風景に反して、前の景色は彼女たちの感情に共鳴するものがあり、人々を優しく包み込む自然の原風景となっている。
そして、彼女たちが目に見える光景の違和感と同時に一種の心地よさを感じているのは、何かの脈動を全身に感じ取っているからである。ただ、耳に聞こえる音ではない。耳を澄ますように精神を良く澄ませてみると、周期的に脈打つような音で、祭りや神楽舞の太鼓のようにも聞こえるが、それは自然に彼女たちの鼓動と連動するようで外部からの刺激だと気付かないでいる。耳を澄ませ心を澄ませ、失いかけた細い記憶を辿れば、彼女たちが胎児の時に聞いた母親の鼓動に近い。
「さて、360度、どちらを見渡しても目標、見えないね。」
ヨゼフはしゃがみこんで視線を地面に近づけた。うっすらと苔が生えた地面の一部に土が露出している。そこに生き物が苔を踏みしだいて土が露出した形跡を探ったのである。むろん自然に苔が生えていない部分もあり、ヨゼフはそんな形跡の中から女の形跡だけを探った。
「やっぱり、、」
と、エレンは独りごちた。この世界について何か分かったことでもあるのかと期待を込めて仲間は一斉にエレンを注視した。
「ロビンフッドって矢の入ったクイーバーを背中にしょってるじゃない?」
「それが?」
「ネイテイブアメリカンも、日本の侍も、シューターは共通して矢を背負ってるの。」
「だから、それがどうした?」
「アーチェリーは矢を腰から下げてるのに、どうしてロビンフッドは矢を背負うのかなって。」
「それで、、、」
「腰から太ももに下げるのって競技では弓を操作するのに集中できるのよ。でも、ロビンフッドのように背負った方が実戦的。」
エレンが気付いたものはこの世界の情報ではないらしい。エレンはクイーバーに手を加えて背に背負った。
ジェスールはザックの側面につるした磁石で慣れた手つきで方向を確認した。そして、こんこんと指ではじいた。使い慣れて信頼しきった磁石で、針は軽やかに動いているが、その示す先が定まらない。周囲を見回したが、針を乱すような地質ではなく、無論、磁石が意味を成さない極地点でもない。
右手に背丈が際立って高い林が見え、彼らはその林を抜け、林を背にして歩いていたはずだ、ふと気づいてみると背にしていた林が右手前方に見えるのである。方位が意味を成さない世界である。
時計を確認すると、彼らがこの世界に入り込んだのは夕刻だったはずで、時計の針は午後7時前だが、陽が中天にあるかのように明るい。しかし、全天に渡って晴れ上がって、隠れるところのないはずの太陽は見えない。ジェスールはトレッキングをする者の習性として太陽の位置を確認しながら歩いているのだが、ジェスールの記憶では影の長さは変わらないのは、この世界で時間が経過していない証拠である。しかし、そもそも太陽が無く全天の光に照らされていてどうして地面にくっきりと影が生じているのだろう。方向だけではなく時間にも意味が無い世界らしい。
「かぁごめ、かごめ・・・・・」
小さくささやくような子供の声が聞こえたかと感じた直後、
「ああっ、、、」
チェルニーのそんな驚きの声も、全身から力が抜けきって口をついて出ない。チェルニーは地面にしゃがみ込んでしまっただけである。見回すと、仲間もまたしゃがみ込み、体調管理に自身のあるエレンは自分の身に起きたことが理解できないように足の筋肉を撫でている。
「これは・・・」
初めての体験にそう呟くエレンに、同じように膝を抱えてしゃがみ込んだマリアが力なく言った。
「餓鬼憑き・・・行き倒れになった旅人や餓死者の怨霊だわ」
以前、読んだ妖怪にまつわる書籍に、そんな妖怪が祟りをなすことがあると記載されていた。突然にしゃがみ込んでしまうほど力が抜けるという経験は初めてだが、何故かその名を思い出したのである。
ジェスールはこの種の経験をトレッキングの中で経験していた。長期の山歩きで体力を失うと食欲も失せる。朝食を取らないまま山を彷徨していると、突然にこの種の現象に襲われる。
「怨霊ですって?馬鹿を言わないで・・・」
チェルニーはそう言った。運動生理学か何かの書籍でこの種の症例を読んだことがある。
「何か食うものはないか」と、ジェスールは体験に基づいていった。
「何か食べればいいのよ」と、チェルニーは医学的見地を語った。
「とりあえず、食事にしましょう。」
マリアはバスケットを開けた。日本の民話ではこういう場合は何かを食べればいいのである。マリアは仲間のためにおにぎりを作ってきている。それを分配した後、時間を感じさせないこと世界で、自分たちが空腹を感じる程度の時間を彷徨っていたことを実感した。
「ありがとう。」
ジェスールはそう言っておにぎりを受け取ったが、大きさが彼の体格と比べていかにも小さい。しかし、そんな苦情ではなく、マリアがおにぎりを取り出した藤のバスケットを見て思いついたことがある。彼はザックから水の入ったペットボトルを取り出した。エレンに飲まれて、こぼされて、残りは三分の一ばかりに減っている。ジェスールはペットボトルをマリアの籠に押し込んで言った。
「預かっておいてくれ。」
化け物との戦いが予想される。正面を切って戦うとすれば自分とエレンとヨゼフになるだろう。戦いの最中にペットボトルの水を使う余裕はあるまい。誰かに託して使わせるとしたら、のほほんとして恐れを知らないマリアに任せるべきだと結論づけたのである。マリアは荷物を受け入れて手提げのバスケットにしまい込んだ。
「誰か、子供の声を聞かなかった?」
チェルニーは仲間にそう尋ねたが、肯く者はない。やはり自分の空耳かと思いこんでおにぎりを頬張った。しかし、あの子供の声がきっかけでここにとどまっているような気がし、何やら子供たちが自分たちの行く手を邪魔しているような推察に致るのである。
エレンがマリアに不満げに尋ねた。
「何、コレ?」
「おにぎり・・・」
おにぎりという日本のファーストフードはエレンも知っているし、エネルギー補給の食品として便利だと評価してもいる。しかし、エレンが聞いたのは齧ったときに中から出てきたペーストである。
「中に入っているのは何よ。」
エレンが手渡されたおにぎりは、表面の塩の味わいは確かにおにぎりだが、かじってみるとねっとりと濃厚な甘いペーストが出てくるのである。それが塩味の付いたご飯と違和感がある。
「あらっ、、アメリカ人なら、ピーナッツバターでしょ?」
マリアは当然のように言った。アメリカ人はピーナッツバターを好んで食すという偏見を持っているのである。この女は悪気はないのだろうが、どうも独自の信念があって、それを押しつける。思わず笑いが広がった仲間の中で、チェルニーが唇に人差し指を当てて静かにしろと指示をした。
「静かに、何か聞こえるわ。」
チェルニーが立ち上がって耳を澄ました。確かに、木立を駆け抜ける風の音に混じって何かのメロディが聞こえるのである。
「子供が歌ってるようだね。」
風の中から音を選別してみると確かに、子供の声がメロディを奏でているが、その歌詞とメロディは 聞き取りずらい。
「子供の声がするなら、和ちゃんもいるかも知れない。」
とアダムが言った。
「慎重に進みましょう。私たちをおびき寄せるトラップかも知れない。」
エレンの言葉にチェルニーが応じた。
「注意してね。」
そんなチェルニーとエレンの言葉に、応じるマリアの口の中には食べかけのおにぎりがあって言葉を発することが出来ない。マリアは二人の意見に首を振って否定し、咀嚼したものを水筒の水でのどの奥に流し込んだ。
「行く必要ないわ。」
「どうして?」
「だって、向こうから近づいてきてるもの。」
耳をすませると、確かにマリアの言うとおりである、僅かながら聞こえるメロディが大きくなってきているようだ。
「ややこしい世界ね。音がどちらから聞こえてるのか分からない。」
「素直に耳を傾けばいいの。どちらか分からないんじゃないの。」
「えっ」
「どっちかじゃなくて、」
全周に耳を傾けたマリアの言葉の深刻さにエレンが言った。
「それじゃ、既に敵に囲まれて、包囲攻撃を受ける危険があるってことよ。」
「かーごめ かごめ 」
マリアが突然に歌詞をメロディに乗せて呟いたので、仲間は驚いて立ち止まり彼女を注視した。
「どういう意味?」
図寝るチェルニーにマリアが答えた。
「どぉって、、、”囲んだ”って歌ってるのよ。」
「アパートで携帯電話に聞こえた歌だね。がごめかごめの遊び歌か。」
アダムが情報をそう補足した。
「ちょっと、どこに行くつもり?」
エレンは声の方向に歩こうとしているマリアの首根っこを捕まえて引き戻した。
「だって、子供の声よ。」
「油断させるためにトラップによく使う手よ。」
とエレンは言い、アダムに説明の続きを求めた。
「続けて、今は何でもいいから情報が欲しいわ。」
状況は何やら変わり始めているようだ。僅かに風に乗ってきたメロディが、ややはっきりと聞こえるようになっているばかりではない。周囲を探って耳を澄ましてみれば、エレンたちの周囲、大人の背丈ほどの草の茂みのあちらこちらから、ぴっんと飛び跳ねるように子供たちの顔が見え隠れしている。見え隠れする子供たちの頭を辿ってったチェルニーが言った。
「確かに、私たち、子供たちに囲まれてるんじゃないかしら」
「かーごめ かごめ かごのなかの とりぃは いついつ でやぁる よあけのばんに」
単調なメロディにのなかに、男の子や女の子、幼児から少年少女といっても良い年齢層、無数の子供たちの存在を聞き分けることができる。およそ1メートル二十センチの背丈の草が密に生い茂る草原であり、その草原に背丈が隠れてしまう子供たちである。時々、こちらを覗うように飛び跳ねて草の穂から見え隠れする顔の位置を確認すれば、数十人の子供たちの輪は縮まって、今はエレンたちから半径20メートルほどの距離を置いて彼女たちを囲んでいるらしい。
「みんな子供だ。脅かしちゃいけない。」
ジェスールは仲間を制して子供たちに語りかけた。
「君たち、どこから来たの?お兄さんたちと、お話をしないか?」
子供たちの歌声が一斉にやんだ。その静けさが不安感を煽る。
「何か相談をしているのかしら」
その時に、かさっ、と、草をかき分ける音がし、一人の少年がチェルニーの目の前に姿を現した。歳は十歳ほど。深刻なほど思い詰めた瞳で、チェルニーを見上げていた。更に、物音がして、和ちゃんほどの年齢の女の子が姿を見せてヨゼフに向きあった。茂みをかき分ける音は続き、数十名ほどの子供たちが、仲間の元に姿を現した。
「トラップだわ。」
エレンが叫んだ。一人の子供が背に隠していた棒を取り出して、鋭く振り上げてアダムを襲ったのである。子供たちは彼らを油断させて、接近してきたところをいきなり棒を持って彼らを攻撃して来たのである。こどもたちはどこからともなくわらわらと沸いて出てくる。しかし、非力な子供たちのことで殴るというより叩くという表現が似つかわしい。
「相手は子供よ、傷つけないようにね。ぎゃっ・・・・・・・・。」
エレンが苦痛で顔をしかめた表情を怒りに変えて背後を振り返った。一人の女の子が竹の棒で彼女の尻を横に打ち据えたのである。非力な子供とはいえ、痛い・・・・・。
エレンは痛みの腹立たしさに有効な反撃の出来ない腹立たしさを加えて少女を睨んだ。
ひっ・・・・
イーリーシン
少女は小さく悲鳴を上げ驚いたように凍り付いた後、大きく開いた目に溢れそうに涙を浮かべた。そんな表情をされるとエレンがこの子を虐めていたような状況になる。エレンたちは反撃するのだが、反撃していて非力な子供たちにこんなことをして良いのかと罪悪感に襲われた。子供たちの目は真剣で、涙目になりながら攻撃を加えてくる。子供たちを傷つけることは出来ずに防戦一方で、避けきれない一撃を受けて悲鳴を上げ続けながら撤退を決意したとき、マリアの声が響いた。
子供たちを見つけて、持っていたおにぎりをわけて一緒に食べようとしたのに、攻撃に転じた子供たちのせいで、手にしたおにぎりが地面に転がり踏みつけられてしまったのである。
「こらぁーーーー。」
腹の底から怒りを噴出したマリアの声が響いた。子供たちはいっせいに静止した。
「食べ物を粗末にする子は、母さん、お尻をぶつわよ。」
母親の怒りに触れたような声に今まで攻撃を諦めなかった子供たちが静止したまま、すまないことをしたと反省する様子を見せた。マリアは悪戯が過ぎた子供を叱りつける目でじろりと子供たちを睨んだ。子供たちは互いの顔を見合わせ、マリアの顔を窺って逃げるように姿を消した。仲間はぽつんと取り残されたよう。
防御に息を切らせていたエレンは腑に落ちないようにマリアに言った
「ありがと。よく分からないけど、あなたがやったらしいわね。」
そう言いながら、物陰に一人の男の子を見つけた。年齢は小学生ぐらい。反抗期の生意気盛りと言ったところか。急な状況変化に一人だけ逃げ遅れてしまったのである。
エレンはふと、マリアを真似てみることにした。彼女は両膝に手を当てて姿勢を低くして男の子と視線の高さを合わせて言った。
「イタズラばかりしてると、お尻をぶつわよ。」
母親になったつもりで言った言葉に反応して男の子は握った拳を解いた。なるほど、こうすればこの子供たちは攻撃の意志を失うのである。エレンはこの状況に念を押すようにジェスールを振り返った。その瞬間、エレンは苦痛に表情を歪めて脛を押さえてかがみ込んだ。エレンの油断を察知して、男の子はエレンの脛を蹴り上げて逃げたのである。
走り去った物音を追って視線をやった先に、男の子は既に姿を消していた。再び仲間を振り返ると、理解できないという様子でぽかんと口を開けた表情を並べていた。その視線はエレンを飛び越えて、男の子が姿を消した先を見つめている。身の回りの混乱が収まってエレンと男の子のやりとりを観察していた。男の子が背を向けて逃げ出す様子が見えたのだが、その様子が異様だった。藪をかき分けて姿が見えなくなったわけではない。男の子の姿が透明になり周囲の景色に溶け込むように姿を消したのである。確認するように周囲を見回せば、先ほどの数十人の子供たちが藪をかき分けて逃げ去った跡はなく、仲間を攻撃するために振り回した棒が茂みの草の葉や茎をなぎ払った形跡もない。ただ、6人ばかりの大人が子供の攻撃を避けて暴れ回って踏みしだいた地面の跡、そして、子供たちに打たれた傷の痛みが残っているだけである。
冷たい風がかき消すように、子供たちの気配はもともと存在しなかったかのように消滅した。
「あのクソガキ!」
エレンは脛を押さえてそう言ったのを温厚なジェスールが制した。子供たちを指し示す言葉としてクソガキとはちょっと表現が過ぎるだろう。
「じっとしていられないね。先へ進もう。」
「クォ・バディス。」
ヨゼフの言葉にアダムはそう呟いた。ポーランド人作家の著書の題名でもあり、ヨハネによる福音書の引用でもある。
(どこへ行くつもりか)と、アダムは仲間に問うているのである。
方向を定める地形がないまま、彼らは方向を見失っている。ジェスールの磁石などはとおに役に立っていない。
マリアが何かに気付いたように目をつむったまま、同じ位置でぐるりと回った。スカートの裾がふんわり膨らむ勢いである。そして、一方を確信を持って指差した。
「あちらよ。」
「どうして分かる?何も目標は見えないぞ。」
「風。」
そう言いながら今度は口ごもった。表現が適切ではないような気がする。空気の流れではない、が、空気が流れるように一方から、寂しさ、悲しさ、苦しさ、嫉妬に似た腹立たしさ、そんな苦痛の感情が入り交じり強さを様々に変えて流れて来て、彼女たちに方向を与えているのである。
「本当、、、」
目をつむって周囲を感じ取りながらぐるりと回ったチェルニーはマリアに同意した。
「確かにそうね。」
エレンも自ら試してみてそう頷きながら、3人の男たちの様子に首を傾げた。
「貴方たち、何やってんの?」
「何も感じないよ。」
「鈍い人たちね。」
女性たちが自信満々で言うので、男たちも彼女たちが指し示す風上に向かうことに同意した。それは子供たちが姿を消した方向でもある。
目標物が見えない、かといって地平線もまた見えないまま、遠くの景色は霧がかかったようにぼやけている。エレンが仲間を見えない目標に先導するように前方を歩いている。
「足下が見えないから気をつけて。」
エレンが注意したとおりである。道は既に絶え、エレンたちは腰の高さほどの草が生い茂る草原に踏み込んでいて足下がおぼつかない。しかし、流れてくる悲しさの感情は強まり続けており、進む方向に間違いは無さそうである。
「ちっ、」
突然の舌打ちと共に、エレンの姿が草の穂の波に沈んで消えた。背後にいた仲間には、エレンが危険を感じて伏せたようにも見える。皆、慌ててしゃがみ込み、しゃがんだままエレンに歩み寄った。エレンが地面に倒れ込むように伏していて、草をかき分けて地面を指差して見せている。
「きゃっ・・・・・」
そんな悲鳴でチェルニーが倒れ込んだため、仲間はその指差す物の意図を察した。トラップである。二株の草の穂先が結ばれていて、地面に草の輪が出来ている。先にエレンがつま先を引っかけて倒れたのと同じ草の輪が、ここ彼処に散見された。もちろん人工的な工作物である。
「あの子たちのイタズラね。」
「この程度で良かったね。オレなら、敵が引っかかって倒れたところを狙って2つめのトラップを仕掛けておくね。」
ジェスールが倒れた仲間を励ました。
「例えば、あれ?」
マリアが慌てて身を避けるのが見えた。アダムが足に引っかけたロープに結ばれた頭上の籠からトゲの付いた栗の実がいくつも転がり落ちてきたのである。彼らは悲鳴を上げて逃げたが全てを避けることは出来ない。
「あのクソガキどもにも、この程度の知恵があったってことだな。」
普段は温厚なジェスールが、栗のイガでこめかみ辺りに血を流してそう言った。むろん軽傷だが、イタズラを仕掛けた子供たちと、あっさりひっかかった自分に腹を立てている。ヨゼフが気付いて言った。
「でも、あの子たちの心理を読んでみると良いよ。守りたいものに侵入されたくないからトラップを仕掛けてるんだね。」
「どういうこと?」
「1つ、間違いなくこの先に何かがある。2つ、大事な物を守りたければこの先にも子供たちはトラップを仕掛けている。」
「トラップがあることが分かってさえ居れば、避けるのは簡単よ。」
「足下に注意しろよ。」
チェルニーは足を止めた。両端の灌木に道が狭められており、その狭い道幅に掘ったのか泥水の水溜まりがある。四角く掘り抜いた穴は自然現象ではなく人工物だと分かる。そして四方が数十センチという可愛らしさは、子供が一生懸命に作ったのだろうと思わせるのである。
「この水溜まりはトラップのつもりね・・・・・私たちを泥だらけにしようっていうのかしらね。」
彼女は笑って水溜まりを飛び越えて、悲鳴を上げた。
「どうした?」
「・・・・・・・。落とし穴に落ちただけよ。」
チェルニーは転んで付いた泥を払いながら、努めて平静を装ってそう言った。水溜まりを飛び越えるということを想定した上で、着地点に落とし穴が掘ってあったのである。
「気をつけろって言ったろ。」
アダムはそう言ったが、次の瞬間にしなやかな木の枝に腰を打たれて顔をしかめた。見れば、木の枝を撓らせて固定し、足下のロープに引っかかった瞬間に枝が元の元の位置に戻るという単純なトラップだった。
イタズラに引っかかり続ける仲間も問題だが、子供たちのこのしつこさはどうだろう。
「この先に進んではいけないということかしら、」
マリアがぽつりとそう言った。
仲間が被ったトラップの数々は、いかにも子供が仕掛けたイタズラレベルのもので、その結果には怒鳴りたくなるものの、仲間の命には別状はない。このイタズラに、お尻を叩く程度のお仕置きはしてやるにしても、子供たちに本気で腹を立てるのは大人げない。
しかし、草の輪のトラップの草は未だ生き生きとした緑だった。もし、この世界に仲間たちの世界の常識を当てはめれば、以前からそう言う具合に設置してあったトラップならとおに草は枯れ果ててしまっているだろう。仲間たちが遭遇するとラップの数々は、あの子供たちが彼らの行く手を阻もうとして、必死に設置しているようにも見える。その必死さが、何か不憫にも感じられるのである。
エレンはふと気付いた。この世界に来てから、彼女たちは子供たちのトラップにひっかり続け、服は落とし穴の泥で汚れ、頭上から落ちてくる落下物に悲鳴を上げている。
なのに、マリアとヨゼフ、あの二人ののほほんとした姿はどうだろう。マリアがトラップを避けているのは、彼女の悪運の強さにみえる、しかし、ヨゼフは理論立てて説明することは出来ないようだが、周囲の気配に注意深く、危険を避けているようだ。それは、野生の勘と呼んでも良い。
「前方偵察!。」と、エレンはヨゼフに言った。
ヨゼフは笑った。エレンはようやく自分の特徴に気付いたらしい。エレンというのは主力部隊であって偵察には不向きに違いない。そのヨゼフも子供達について考えている。
証拠を挙げろと言われれば根拠がない。しかし、子供たちが襲ってきたときに、マリアと自分だけが攻撃の対象にならなかったのは何故だろう。マリアと自分には共通点がある。 あの化け物を敵と感じて行動する仲間の中で、女に害意を感じずにいるということだ。
「ちょっと待ってるね。」
ヨゼフはそう言い置いて軽々と身を翻して駆けだした。
少し進んで振り返って地面を差し、
「そこ、落とし穴がある。」
と、仲間に注意を促した。野生の勘は効を奏して、仲間は無事に前進した。
「おぉーーーい。」
ヨゼフが長い腕を振って手招きをして仲間を呼び寄せた。
仲間の目前に湖が広がっている。
背丈ほどの草が生い茂る視界の利かない草むらを抜けると、突然に出現したという景色である。湖面は凍りついたように澄み渡っており、時折、そよ風が作りだす細波が無ければ、空を映す鏡にみえる。ヨゼフはすでに水辺に屈みこんで手の平に一すくいの水をとり安全性を確認するように匂いを嗅ぎ、口に含んだ。よく澄んだ水で、僅かに地の香りがする。
ジェスールも屈んで指先を浸し、更に、ハンカチを澄んだ水に浸してきつく絞り、首筋の汗をぬぐった。マリアは水筒の蓋を開けた。ヨゼフの様子から飲用できると見て、残り少なくなった水を補給しようとしたのである。マリアは湖の透明感を確認して、水筒を持った手を水面に漬けた。
こぽり、こぽりっ、、
水筒の口は泡を吐き出して水を飲み込んでゆく。
突然に、マリアはその指先に凍りつくような痛みに似た恐怖を感じた。その恐ろし気な感覚が収まりきらず、彼女は手にした水筒を投げ上げるように放りだして、自らの胸を抑えてうずくまった。
「衛生兵(メディック)!」
マリアの体に異変を感じ取ったエレンがチェルニーを呼んだ。
「誰が、衛生兵よ。」
チェルニーは心の中で毒づいた。見たところ、マリアに緊急を要する外傷は無く、目を大きく見開いて無表情になっていて、精神的なショックを受けたようだが、回復して表情を取り戻しつつある。
チェルニーは小刻みに震えるマリアを抱きしめていたが、マリアは安堵したように自ら起き上がった。チェルニーはタオルを持ってマリアの側を離れた。冷や汗をかいているマリアの額を、冷たくぬらしたタオルで拭いてやろうと思ったのである。
「ちょっと、彼女を支えていて。」
チェルニーは、まだふらついているマリアをアダムに預けた。タオルを湖の水につけてすすいだ瞬間、声にならない悲鳴を上げてチェルニーもまた、電気にでも撃たれたようにのけぞって倒れた。
「どうした、チェルニー。」
アダムの問いかけに、倒れ込んで声を発することが出来ないチェルニーの代わりに、マリアが答えた。
「水が、水が、、」
言葉がとぎれがちで意味をなしていないのは、発する単語を探して、戸惑っているからである。あの衝撃、あの心の痛みをどう表現すればよいのだろう。
「水の中に何か居る?」
ヨゼフはそう推察して湖をのぞき込み、試しに水面をかき混ぜてみた。まったく異常が無く、二人が倒れた原因が分からない。ジェスールとアダムも湖をのぞき込んだが、澄んだ水に異常は見つからない。縁から中心部に向かって遠浅に深さを増すという湖のようで、湖面に映るアダムの顔に、滑らかに深くなって行く湖底の斜面が見えている。手前の光の届く湖底から中心部に目を移してゆくと、湖に吸い込まれるかと思うような目眩に囚われるが、それだけである。既に湖の水を口に含んだヨゼフ、水に指を浸して香りを嗅いで異常を探るジェスール、そしてアダム自身にも、マリアやチェルニーほど即効的な変化はない。ふと、アダムは考えた。
「これは仮説だが、、、 」
そう語り始めるアダムに仲間の視線が集まった。
「この湖の水に触れると、男は変化は無い、しかし、女は、、、。いや、あくまでも仮説だけどね。」
異常を感じるマリアとチェルニー、全く異常を感じないジェスールとヨゼフとアダム、このグループの違いを考えれば明らかに、性別によって差が出るのではないかというのである。
「それが?」
と、エレンは仲間を見回して聞いた。
仲間の視線がアダムから自分に向いているのに気付いたのである。男たちは、お前は女かと問うている視線である。
「あんたたちは、私が女だと証明するのに触ってみろと言ってるわけね?いいわ、触ってやろうじゃない。」
そう言いつつ、エレンは湖のほとりにしゃがんだ。そして、そっと指を伸ばしてさぐろうとした。マリアやチェルニーのように突然ではなく、何かあるかもしれないと心の準備は出来ている。
しかし、水面に指を伸ばしかけたエレンは、勘良く察して、振り向いて背後のマリアに言った。
「こらっ、、、」
マリアがエレンの背後から背を押すポーズで固まっている。岸辺の水深は深くは無い。しかし、こんな体勢でマリアに背を押されたら、エレンは腕はひじの辺りまで、そして顔は水面にどっぷり浸けてしまうだろう。マリアは先に感じたものから、指先をほんの少し浸ける程度ではなく、この湖に秘められた感情を十分に感じ取る必要があると思ったのである。
「誰か、この・危・険・な・女、抑えといてくれる?」
チェルニーがマリアの腕をつかんだのを確認して、エレンは再び湖面に指を伸ばした。たしかに、チェルニーとマリアはこの湖に触れて異常を感じたようだが、すでに回復している、ショックは大きいのかもしれないが回復は早い。彼女はそう冷静に読んでいる。
中指の指先に水を感じたが変化が無い。
「うんっ?」
変化を感じないのが不思議な感じがする。指先が触れる水先に静かに波紋が広がった。指先で何かを探るように動かすにつれて波紋が幾重にも広がったエレンに変化は無い。
この時、湖面に風が吹きぬけた。さわやかな涼風といってもいい。この湖の持つどんよりした重いイメージの対極にある風が、エレンの髪を撫でた。
「えっ?」
エレンの指先を中心に広がっていた波紋が、ゆるりゆるりと縮まっているようにみえたのである。むろん自然現象としては見かけない光景である。
その変化は急速に速度を増し、エレンが湖面から指を離すまえに、彼女の指先に収縮した。
「お母さんっ!!」
エレンは天を仰いで言葉を吐き出すように叫んだ。彼女自身が叫んだわけではない。湖の底深くから伝わってきた感情が彼女の口を借りて空に向けて噴出したのである。
彼女は頭をしっかり抱えてうずくまった。呼吸を忘れるほどに胸が悲しみの感情で切なく彼女は両手で胸を押さえた。
「あっ、、泣いてる。」
ジェスールがそう口にした。勝気なエレンの涙が信じられなかったのである。
「うるさいっ」
エレンは拳でジェスールの胸を叩いた。しかし、理由は良く分からない。頬を伝わる涙が恥ずかしくはなく、自然なことのように思われるのである。
「んっ?」
突然、マリアは皆の視線を浴びているのに気づいて、ペットボトルの蓋を閉めた。泣いたせいかのどが渇いたのだが、先ほど自分の水筒は、湖から受けたショックで放り投げてしまって水が地面にこぼれて水残っていない。ジェスールに与えてもらったペットボトルを思い出して飲んでいたのである。
誰かが飲みなさいと囁いたような気もする。
エレンが声にならない叫びを上げてマリアからペットボトルを奪い取った。
「どうするのよ、コレ。」
エレンがマリアの目の前で振ったペットボトルには、底に一口か二口分が残っているだけである。あの化け物に対抗すべき有効な手段が、たったそれだけしか残っていない。マリアはやや非難を込めた目でエレンを見た。マリアも反論したくなる。最初に半ば近くを飲んだのはエレンのはずだ。非難を目つきで返されるとエレンも後ろめたい。ジェスールがペットボトルを奪い取って、背中のザックにしまい込んだ。
「預けたのは俺だ。あとはオレが預かる。」
マリアはふと何かを感じて、口元から喉へと指先を滑らせた、体内に流れ込んだ水は、喉から胃の腑、胃の腑からヘソの辺り、そこからまるで子宮に落ち着くような感覚で、彼女の体内を通った。お腹の中がほんのりと温かい感じがし、女性として生まれた幸福感が全身に広がった。
「アレじゃないか?」
ヨゼフがやや背伸びをして目をこらす方向にも他の仲間の視線が集まった。その景色は水面を流れる霧にぼやけてしまっている。最初は、その建物が湖の中程に浮かんでいるように見えた。湖を薄く覆う霧の上に覗くのは、古い日本家屋の屋根である。遠目に見ても粗末な家屋ではない。しかし、霧が淡く薄れるように晴れてみると、壮麗壮大と表現するにも及ばない質素な白木造りの一軒家である。人の存在を暗示する物が湖の向こうに見えている。
「あれね。」
と、エレンが和ちゃんとあの女の存在場所だという意味を込めて言った。仲間は肯いた。ここまでの道程で人の気配を感じる建築物は他に無く、女が発したに違いない感情の流れに逆らってここまで辿ってきた。あそこに女と和ちゃんが居るという確信があった。
「湖の周囲を回って、あと、20分というところか。」
ジェスールがその距離を評した。催淫 不思議なことに、今までどの程度の距離を歩いたのか、仲間には全く実感がない。子供たちの妨害の数々を考えればずいぶん長い道程だったような気がし、ここであの一軒家を眺めれば入り口からここまでほんの一瞬だったような気もするのである。しかし、目標を捉えて距離を考えればジェスールの判断通りだろう。エレンはその判断に修正を加えた。
「駆け足!、10分後にあの門から突入するわよ。」
言い終わる間もなく駆け始めたエレンを見て、顔を見合わせた仲間は仕方がないと肯きつつ、エレンの後を追った。
2010年08月26日
どうも普通の猫とは色々と違う奇妙なところがあること
世はなべてこともなし、という語句がぴたりとはまりこむような青空がひさしぶりに広がった日曜日のこと、私は洗濯物を干すという作業に朝からいそしんでいた。なんせ数日続いた雨のせいで、汚れ物がたまりにたまって見るだけでうんざりするほどだったのだ。そんなわけで週末恒例の朝寝もあきらめて、洗濯機をフル回転させていたのだが、それもやっと終わり、最後の靴下を洗濯ばさみでとめたところで、階下から声がした。
「桃さーん」
ふたたび窓から身を乗り出して外を覗くと、西原さんがこちらを見上げて、散歩に行きませんか?とのんきなことをやけに嬉しげに言った。
その隣、アパートの門灯の横で、彼の飼い猫の八つ橋が前足を揃えて座ったまま、ゆらりと尻尾を振ってみせた。
まず初めにお断りしておくと、西原さんというのは、私の隣人である。それ以上でもそれ以下でもない。
たしかに彼の愛猫を預かることはあるし、そのお礼として彼が持ってくるお菓子を受け取るし、ときどきはそれと合う飲み物を出して二人でつまむことはないとはいえないから、最近は茶飲み友達程度には親しくなったようにみえても仕方ないことなのかもしれないが、私は断固としてここに宣言する。イカオウそれは、不可抗力のせいであり、あくまで外見上の話である、と。
どちらかといえば、私と西原さんとは『友達』というより『知人』である。もっと正確にいうならば、多少聞こえは悪いが、彼は私の観察対象、である。
尋常ではない甘味好き、という点からして私の好奇心をくすぐるには十分だったが、それ以上に、自分のことを大真面目に宇宙人であると言うにいたっては、もう目が離せなくなっても仕方ないではないか。しかも、彼の飼っている猫も、その名前と巨大なサイズ以外にも、どうも普通の猫とは色々と違う奇妙なところがあるようなのである。
はっきりいえば、西原さん(そして彼の猫)は、変、なのだ。それも、ものすごく。
そんなわけで、友人というには、私は西原さんのことをあまりにも知らないのである。そして、正直なところ、この謎が多すぎる隣人を友達と呼ぶのは、ちょっと……躊躇しなくもない。
そこまで考えて、私は隣を歩いている西原さんに尋ねた。アパートから2、3ブロック歩いた地点である。
「どこに行くんですか?」
「秘密です」
西原さんは、ひょろひょろ、という擬音語が似合う歩き方をしながら答えた。猫連れだからそんなに遠くには行かないだろうと思っていたのだが、西原さんがひょろ長い手足を交互に出しているのとは対照的に、その肩の上で八つ橋は襟巻きのように体を伸ばしていた。自分では歩かずに、飼い主を乗り物代わりに使ったりするから太るんじゃないかと思ったが、私は口には出さなかった。
「でもすぐ着きますよ、ここを曲がって……はい、到着」
と言われたそこは、何の変哲もない住宅街の真ん中のように見えたので、私は思わずあたりを見回した。西原さんは、そんな私には構わずに、一軒の家の玄関へと近づいていく。おそるおそる後ろについていくと、彼はインターホンではなくて、その下に生えている木に手を伸ばした。具体的には、その木に咲いている、柔らかそうなピンクの花に。
そして、「すみません」と謝罪したかと思うと、私があっけにとられている間に、その花から花びらをちぎりとった。
「はい」
さも当然のように手渡されて、私は花びらと西原さんの顔を交互に見る羽目になった。
何がしたいのだろうこのひとは、と思わず八つ橋に助けを求めそうになったが、猫も興味津々といった表情で西原さんの次の挙動を見守っている。私が仕方なく路上で花びらを持っている横で、西原さんはもう一回謝りながら花を取った。そして今度はそれを自分の口の中に突っ込んだ。
「食べた!?」
「はい、おいしいですよ」
これはフェイジョアという木で、本当は実を食べるんですが、花もおいしいです。
にこにこしながら、西原さんは言った。
「前に、六花亭のマルセイバターサンドを食べているときに、雪みたいなお菓子が食べたいっていうお話をされていたでしょう。で、ああいうお菓子はまだ見つからないんですが、名前つながりで、花はどうかなと思って。八つ橋がフェイジョアの木がここにあるって教えてくれたので、花が咲いたら一番にお見せしたかったし、食べてもらいたいと思って、桃さんに」
そんな話をしたことすら忘れていた。思わず返答につまった私には構わずに、西原さんは滔々と語りはじめる。
「はなびら餅でもいいかな、と思ったんですけど。あのお菓子、ご存知ですか?」
正確には、菱葩餅っていいまして、ごぼうと白味噌餡をピンク色のお餅で包んで、その上から円形の求肥か白いお餅を二つに折って半円形に包んだお正月の和菓子です。うっすらと下のお餅の色が透けて見えて、すごくきれいなんですよ。僕はあれを見るたびに貝の剥き身を連想してしまうのですが、本当は宮中のおせち料理を簡略化して配っているうちにあの形になったらしいですね。ごぼうは鮎の塩漬け、白味噌餡はお雑煮の代わりなんだそうです。でも僕としては、元の食べ物より、はなびら餅を貰うほうが嬉しいです。
「西原さん」
私は彼の菓子談義をさえぎって言った。
「ありがとうございます。あの、でも、これって」
ドロボウじゃないですか。
たかが花と言っても、明らかに他人のものなのだ。花泥棒に罪はないというが、それは美しさに惹かれて盗った場合であって、食料としてはカウントされないと思われる。
ささやくと、西原さんは愕然としたように目を見開いた。考えていなかったらしい。なぜか肩に乗ったままの八つ橋が、とてもわかりやすく目を逸らした。
「……そううわ痛!」
西原さんは口をぱくぱくとさせてから何かを言おうとしたが、それは八つ橋が爪を閃かせたことで中止となった。痛みに飛び上がって、次にかがみこんだ彼の首元あたりから、八つ橋の唸り声が聞こえてくる。
ようやく振り返った西原さんは、珍しく困った顔をして言った。
「実はこの家は八つ橋のものなんです」
あまりにも無理がある。
私の表情に気がついたのか、八つ橋がまたもやぐるぐる、と唸った。西原さんの表情の困惑度がさらに上がる。めずらしいこともあるものである。
「といいますか、えー昔は悪い巨人が住んでいたんですが、ネズミに変身した際に、八つ橋がやっつけまして……」
「巨人!? この家普通サイズなんですが、っていうか『長靴をはいた猫』!?」
私は思わず突っ込んだ。いったい何がしたいのかわからないほどひどい出来の嘘を吐かれて、こちらも動転していたのである。
西原さんは八つ橋とちらりと目を見交わして、また八つ橋が喉を鳴らすのに耳を傾けた。
「いや実は、ここは八つ橋のセカンドホームなんです。八つ橋の卓越したネズミ捕りの才能に惚れこんだ奥様がですね、いたれりつくせり、なかなか離してくれなくて……ですから僕達は乗り込んでいって穏便に話し合いを……」
「『オゥオゥ奥さん、ウチの猫に手ェ出すなんて覚悟はできてるんだろうな』って?」
「いやそこまでは」
そりゃそうだろう、そこまでやったら美人局で恐喝である。
「でも、八つ橋の飼い主は西原さんなんですから、本来は、猫の面倒をみてもらっていることに対してお礼をする側なんじゃないですか?」
「……そうですよね……」
どうしよう、ちょっと楽しくなってきた。
八つ橋が今度はごろごろという音を立てる。西原さんは、なんだかだんだん困惑というよりは、悲愴という言葉が似合いそうな表情となってきていた。めずらしいことも、あるものである。
「『でも今ちょっとお金がなくて払えないんです』と言ったら、『それじゃあ仕方ないニャー』と……」
「ニャー!?」
「猫好きの方なんです」
すべての猫好きが語尾にニャーと付けるようになったら、世の中が大混乱に陥ると思ったが、私は言わないでおくことにした。
きっとその場合、犬好きの語尾は『~ワン』である。
「八つ橋はちょうどネズミに悩まされていた、こちらの奥様に召し上げられてしまいます。もし返してほしければ、八つ橋と同じ目方の金を持ってくるように、と」
それは重そうだ。
証明するかのように西原さんは噂の飼い猫を乗せたままの肩を落とした。八つ橋は自分につけられた価値に満足しているらしい、目を細めると、口だけ開けて音もなく鳴いた。
「散々頼み込んで、僕と八つ橋は一週間の猶予をもらいます。でも、その間、ネズミが一匹目撃されるたびに返済金額が1000万円プラスされるニャー、という契約書に泣く泣くサインを」
「いっせんまん! 高いですよ!」
付け加えるとするならば、ニャーは譲れないらしい。
「嫌いなものをがまんする、ということに値段をつけるとすれば、まだ安いくらいかもしれません」
やけに深刻な顔をして西原さんは語った。
「しかもネズミはその名の通り、ネズミ算式に増えるので大変です」
「そこらへんシビアですね」
「そうなんです。そんな勢いで増える借金に対抗するには、道は一つしかありません。ギャンブルです。僕と八つ橋はまっすぐラスベガスを目指します」
「ラスベガス!」
ずいぶんスケールの大きい話になってきたものである。
「ええ。世界最大の娯楽街。砂漠のただ中にぽつんとある享楽の地。そこに僕と八つ橋は一攫千金を目論んで乗り込み、大勝をおさめます。カードを引けばポーカーの手札は必ずロイヤルストレートフラッシュ、スロットマシーンのバーに飛び乗れば7が三つ並ぶ、カジノのオーナー達が血眼でイカサマを見破ろうとしますが、何の証拠は見つけられません。それも当然、すべては八つ橋の幸福を呼ぶ招き猫としての才能にかかっていたのですから。猫と東洋人の男のコンビは瞬く間にブラックリストに載りつつも、借金返済を着々とこなしていたのですが、」
八つ橋にネズミ捕り以外の才能があることが明らかになったにもかかわらず、どうやらハッピーエンドは遠いらしい。それにしても西原さん、語り口調がだいぶスムーズになってきている。
「最後の最後にルーレットに賭けたのが悪かった。ほら、あれって玉を転がすでしょう。あれに、本能を押さえ切れなかった八つ橋が飛びついてしまい、賭けは目茶苦茶に。八つ橋はそのへん可愛いふりなんてできませんから、止めに入ったディーラーや警備員相手に大激闘……」
『シュレック2』に出てくる長靴をはいた猫なら、媚を売ってなんとか切り抜けそうではある。あれは何回見ても騙されるたぐいの可愛さだと思う。八つ橋には、確かに無理そうだが。
「そんなことで僕達は、営業妨害をしたということで、これまで勝ったお金を全部取り上げられた挙句、放り出されます」
「あの砂漠に!」
「そうです、水の一滴もなく。どんどん衰弱して、横たわって空を見上げながら、最後に思い出すのは……桃さんに」
何と続けるつもりだ。
ここまで荒唐無稽一辺倒だった話のクライマックスに自分の名前が出てきたものだから、私は固唾を飲んだ。
「淹れてもらったお茶で、はなびら餅食べたかったニャー、と」
「ここまでひっぱっておいて花より団子オチ!?」
しかもまさかのバッドエンドである。それに加えて語尾がニャー。
というか、結局何の解決にもなっていないことに気付いてほしい。
やってられん、という雰囲気を雄弁に漂わせて、くあ、と八つ橋が顔半分ほどの大口を開けてあくびをした。その気持ちは私もわからないでもない。
「あの、でも、桃さんはまだ食べる前ですから無罪……」
言いかけた西原さんを、私はさえぎった。
「いえ、私も食べます」
私は、言うが早いか、ぱくりと、話の間ずっと指先だけで持っていた花びらを口に含んだ。
……ところで、咀嚼しながらやっと気がついたのだが、目の前の車庫は空っぽだった。
車もないし、これだけ長い間、家の前に立ち尽くしていても、中に人のいる気配はなかったということは、きっと住人は、ひさしぶりに晴れた週末に出かけているのだろう。
それなのに、よくもまあ、花一つで大騒ぎをしたものである。自分がきっかけを作ったことは棚にあげて、私は呆れた。花を取って食べてしまったことには変わりはないのだが。
すみません、と心の中で詫びてから、もうひとつ、好き勝手な設定を作ってしまったことに対して、すみません、と付け加える。特に、語尾がニャーというのは、もしも本当に猫好きだとしてもいただけないだろう。
「おいしかったです」
食べ終わって報告すると、「それはよかったです」と言う西原さんと、彼の肩の上の八つ橋が揃って目を細めた。確かにものすごく、変な一人と一匹なのだが、口に出した本人さえ忘れているようなことをおぼえていてくれて、そのために何かしてくれる。
たとえそのやり方がちょっと常識から外れているとしても、存在自体に謎が多くても。
ただの知人でいるにはもったいないかもしれない、のかもしれない。催淫 こんなこと考えてどうなることでもないし、空は青いし、世はなべてこともないし、なるようにしかならないものだけれど。知人を飛び越えて、窃盗の共犯者になってしまったことだし。
「お礼というにはなんですが、帰ったらお茶はいかがですか?」
とりあえず訊いてみると、バームクーヘンがあります!という声と、本当の猫の鳴き声の二重奏で返事があった。
思わず笑うと、花の、優しくほろりとした食感と、ほのかに甘酸っぱい味が舌先にまだ残っているような気がした。
「桃さーん」
ふたたび窓から身を乗り出して外を覗くと、西原さんがこちらを見上げて、散歩に行きませんか?とのんきなことをやけに嬉しげに言った。
その隣、アパートの門灯の横で、彼の飼い猫の八つ橋が前足を揃えて座ったまま、ゆらりと尻尾を振ってみせた。
まず初めにお断りしておくと、西原さんというのは、私の隣人である。それ以上でもそれ以下でもない。
たしかに彼の愛猫を預かることはあるし、そのお礼として彼が持ってくるお菓子を受け取るし、ときどきはそれと合う飲み物を出して二人でつまむことはないとはいえないから、最近は茶飲み友達程度には親しくなったようにみえても仕方ないことなのかもしれないが、私は断固としてここに宣言する。イカオウそれは、不可抗力のせいであり、あくまで外見上の話である、と。
どちらかといえば、私と西原さんとは『友達』というより『知人』である。もっと正確にいうならば、多少聞こえは悪いが、彼は私の観察対象、である。
尋常ではない甘味好き、という点からして私の好奇心をくすぐるには十分だったが、それ以上に、自分のことを大真面目に宇宙人であると言うにいたっては、もう目が離せなくなっても仕方ないではないか。しかも、彼の飼っている猫も、その名前と巨大なサイズ以外にも、どうも普通の猫とは色々と違う奇妙なところがあるようなのである。
はっきりいえば、西原さん(そして彼の猫)は、変、なのだ。それも、ものすごく。
そんなわけで、友人というには、私は西原さんのことをあまりにも知らないのである。そして、正直なところ、この謎が多すぎる隣人を友達と呼ぶのは、ちょっと……躊躇しなくもない。
そこまで考えて、私は隣を歩いている西原さんに尋ねた。アパートから2、3ブロック歩いた地点である。
「どこに行くんですか?」
「秘密です」
西原さんは、ひょろひょろ、という擬音語が似合う歩き方をしながら答えた。猫連れだからそんなに遠くには行かないだろうと思っていたのだが、西原さんがひょろ長い手足を交互に出しているのとは対照的に、その肩の上で八つ橋は襟巻きのように体を伸ばしていた。自分では歩かずに、飼い主を乗り物代わりに使ったりするから太るんじゃないかと思ったが、私は口には出さなかった。
「でもすぐ着きますよ、ここを曲がって……はい、到着」
と言われたそこは、何の変哲もない住宅街の真ん中のように見えたので、私は思わずあたりを見回した。西原さんは、そんな私には構わずに、一軒の家の玄関へと近づいていく。おそるおそる後ろについていくと、彼はインターホンではなくて、その下に生えている木に手を伸ばした。具体的には、その木に咲いている、柔らかそうなピンクの花に。
そして、「すみません」と謝罪したかと思うと、私があっけにとられている間に、その花から花びらをちぎりとった。
「はい」
さも当然のように手渡されて、私は花びらと西原さんの顔を交互に見る羽目になった。
何がしたいのだろうこのひとは、と思わず八つ橋に助けを求めそうになったが、猫も興味津々といった表情で西原さんの次の挙動を見守っている。私が仕方なく路上で花びらを持っている横で、西原さんはもう一回謝りながら花を取った。そして今度はそれを自分の口の中に突っ込んだ。
「食べた!?」
「はい、おいしいですよ」
これはフェイジョアという木で、本当は実を食べるんですが、花もおいしいです。
にこにこしながら、西原さんは言った。
「前に、六花亭のマルセイバターサンドを食べているときに、雪みたいなお菓子が食べたいっていうお話をされていたでしょう。で、ああいうお菓子はまだ見つからないんですが、名前つながりで、花はどうかなと思って。八つ橋がフェイジョアの木がここにあるって教えてくれたので、花が咲いたら一番にお見せしたかったし、食べてもらいたいと思って、桃さんに」
そんな話をしたことすら忘れていた。思わず返答につまった私には構わずに、西原さんは滔々と語りはじめる。
「はなびら餅でもいいかな、と思ったんですけど。あのお菓子、ご存知ですか?」
正確には、菱葩餅っていいまして、ごぼうと白味噌餡をピンク色のお餅で包んで、その上から円形の求肥か白いお餅を二つに折って半円形に包んだお正月の和菓子です。うっすらと下のお餅の色が透けて見えて、すごくきれいなんですよ。僕はあれを見るたびに貝の剥き身を連想してしまうのですが、本当は宮中のおせち料理を簡略化して配っているうちにあの形になったらしいですね。ごぼうは鮎の塩漬け、白味噌餡はお雑煮の代わりなんだそうです。でも僕としては、元の食べ物より、はなびら餅を貰うほうが嬉しいです。
「西原さん」
私は彼の菓子談義をさえぎって言った。
「ありがとうございます。あの、でも、これって」
ドロボウじゃないですか。
たかが花と言っても、明らかに他人のものなのだ。花泥棒に罪はないというが、それは美しさに惹かれて盗った場合であって、食料としてはカウントされないと思われる。
ささやくと、西原さんは愕然としたように目を見開いた。考えていなかったらしい。なぜか肩に乗ったままの八つ橋が、とてもわかりやすく目を逸らした。
「……そううわ痛!」
西原さんは口をぱくぱくとさせてから何かを言おうとしたが、それは八つ橋が爪を閃かせたことで中止となった。痛みに飛び上がって、次にかがみこんだ彼の首元あたりから、八つ橋の唸り声が聞こえてくる。
ようやく振り返った西原さんは、珍しく困った顔をして言った。
「実はこの家は八つ橋のものなんです」
あまりにも無理がある。
私の表情に気がついたのか、八つ橋がまたもやぐるぐる、と唸った。西原さんの表情の困惑度がさらに上がる。めずらしいこともあるものである。
「といいますか、えー昔は悪い巨人が住んでいたんですが、ネズミに変身した際に、八つ橋がやっつけまして……」
「巨人!? この家普通サイズなんですが、っていうか『長靴をはいた猫』!?」
私は思わず突っ込んだ。いったい何がしたいのかわからないほどひどい出来の嘘を吐かれて、こちらも動転していたのである。
西原さんは八つ橋とちらりと目を見交わして、また八つ橋が喉を鳴らすのに耳を傾けた。
「いや実は、ここは八つ橋のセカンドホームなんです。八つ橋の卓越したネズミ捕りの才能に惚れこんだ奥様がですね、いたれりつくせり、なかなか離してくれなくて……ですから僕達は乗り込んでいって穏便に話し合いを……」
「『オゥオゥ奥さん、ウチの猫に手ェ出すなんて覚悟はできてるんだろうな』って?」
「いやそこまでは」
そりゃそうだろう、そこまでやったら美人局で恐喝である。
「でも、八つ橋の飼い主は西原さんなんですから、本来は、猫の面倒をみてもらっていることに対してお礼をする側なんじゃないですか?」
「……そうですよね……」
どうしよう、ちょっと楽しくなってきた。
八つ橋が今度はごろごろという音を立てる。西原さんは、なんだかだんだん困惑というよりは、悲愴という言葉が似合いそうな表情となってきていた。めずらしいことも、あるものである。
「『でも今ちょっとお金がなくて払えないんです』と言ったら、『それじゃあ仕方ないニャー』と……」
「ニャー!?」
「猫好きの方なんです」
すべての猫好きが語尾にニャーと付けるようになったら、世の中が大混乱に陥ると思ったが、私は言わないでおくことにした。
きっとその場合、犬好きの語尾は『~ワン』である。
「八つ橋はちょうどネズミに悩まされていた、こちらの奥様に召し上げられてしまいます。もし返してほしければ、八つ橋と同じ目方の金を持ってくるように、と」
それは重そうだ。
証明するかのように西原さんは噂の飼い猫を乗せたままの肩を落とした。八つ橋は自分につけられた価値に満足しているらしい、目を細めると、口だけ開けて音もなく鳴いた。
「散々頼み込んで、僕と八つ橋は一週間の猶予をもらいます。でも、その間、ネズミが一匹目撃されるたびに返済金額が1000万円プラスされるニャー、という契約書に泣く泣くサインを」
「いっせんまん! 高いですよ!」
付け加えるとするならば、ニャーは譲れないらしい。
「嫌いなものをがまんする、ということに値段をつけるとすれば、まだ安いくらいかもしれません」
やけに深刻な顔をして西原さんは語った。
「しかもネズミはその名の通り、ネズミ算式に増えるので大変です」
「そこらへんシビアですね」
「そうなんです。そんな勢いで増える借金に対抗するには、道は一つしかありません。ギャンブルです。僕と八つ橋はまっすぐラスベガスを目指します」
「ラスベガス!」
ずいぶんスケールの大きい話になってきたものである。
「ええ。世界最大の娯楽街。砂漠のただ中にぽつんとある享楽の地。そこに僕と八つ橋は一攫千金を目論んで乗り込み、大勝をおさめます。カードを引けばポーカーの手札は必ずロイヤルストレートフラッシュ、スロットマシーンのバーに飛び乗れば7が三つ並ぶ、カジノのオーナー達が血眼でイカサマを見破ろうとしますが、何の証拠は見つけられません。それも当然、すべては八つ橋の幸福を呼ぶ招き猫としての才能にかかっていたのですから。猫と東洋人の男のコンビは瞬く間にブラックリストに載りつつも、借金返済を着々とこなしていたのですが、」
八つ橋にネズミ捕り以外の才能があることが明らかになったにもかかわらず、どうやらハッピーエンドは遠いらしい。それにしても西原さん、語り口調がだいぶスムーズになってきている。
「最後の最後にルーレットに賭けたのが悪かった。ほら、あれって玉を転がすでしょう。あれに、本能を押さえ切れなかった八つ橋が飛びついてしまい、賭けは目茶苦茶に。八つ橋はそのへん可愛いふりなんてできませんから、止めに入ったディーラーや警備員相手に大激闘……」
『シュレック2』に出てくる長靴をはいた猫なら、媚を売ってなんとか切り抜けそうではある。あれは何回見ても騙されるたぐいの可愛さだと思う。八つ橋には、確かに無理そうだが。
「そんなことで僕達は、営業妨害をしたということで、これまで勝ったお金を全部取り上げられた挙句、放り出されます」
「あの砂漠に!」
「そうです、水の一滴もなく。どんどん衰弱して、横たわって空を見上げながら、最後に思い出すのは……桃さんに」
何と続けるつもりだ。
ここまで荒唐無稽一辺倒だった話のクライマックスに自分の名前が出てきたものだから、私は固唾を飲んだ。
「淹れてもらったお茶で、はなびら餅食べたかったニャー、と」
「ここまでひっぱっておいて花より団子オチ!?」
しかもまさかのバッドエンドである。それに加えて語尾がニャー。
というか、結局何の解決にもなっていないことに気付いてほしい。
やってられん、という雰囲気を雄弁に漂わせて、くあ、と八つ橋が顔半分ほどの大口を開けてあくびをした。その気持ちは私もわからないでもない。
「あの、でも、桃さんはまだ食べる前ですから無罪……」
言いかけた西原さんを、私はさえぎった。
「いえ、私も食べます」
私は、言うが早いか、ぱくりと、話の間ずっと指先だけで持っていた花びらを口に含んだ。
……ところで、咀嚼しながらやっと気がついたのだが、目の前の車庫は空っぽだった。
車もないし、これだけ長い間、家の前に立ち尽くしていても、中に人のいる気配はなかったということは、きっと住人は、ひさしぶりに晴れた週末に出かけているのだろう。
それなのに、よくもまあ、花一つで大騒ぎをしたものである。自分がきっかけを作ったことは棚にあげて、私は呆れた。花を取って食べてしまったことには変わりはないのだが。
すみません、と心の中で詫びてから、もうひとつ、好き勝手な設定を作ってしまったことに対して、すみません、と付け加える。特に、語尾がニャーというのは、もしも本当に猫好きだとしてもいただけないだろう。
「おいしかったです」
食べ終わって報告すると、「それはよかったです」と言う西原さんと、彼の肩の上の八つ橋が揃って目を細めた。確かにものすごく、変な一人と一匹なのだが、口に出した本人さえ忘れているようなことをおぼえていてくれて、そのために何かしてくれる。
たとえそのやり方がちょっと常識から外れているとしても、存在自体に謎が多くても。
ただの知人でいるにはもったいないかもしれない、のかもしれない。催淫 こんなこと考えてどうなることでもないし、空は青いし、世はなべてこともないし、なるようにしかならないものだけれど。知人を飛び越えて、窃盗の共犯者になってしまったことだし。
「お礼というにはなんですが、帰ったらお茶はいかがですか?」
とりあえず訊いてみると、バームクーヘンがあります!という声と、本当の猫の鳴き声の二重奏で返事があった。
思わず笑うと、花の、優しくほろりとした食感と、ほのかに甘酸っぱい味が舌先にまだ残っているような気がした。
2010年08月20日
美しい景色とすばらしい風景を与えられること
あるアメリカ人は”Beer!”叫んで飛び込みました。
そうするとプールはビールでいっぱいになりました。
あるフランス人は”Vin!”と叫んで飛び込みました。
そうするとプールはワインでいっぱいになりました。
ある日本人は”日本酒!”と叫んで飛び込みました。
そうするとプールは日本酒でいっぱいになりました。
あるベルギー人があれこれ考えようやく決まり
走り出しました。が、石につまずいてしまい、アリ王
”Merde(Shit)!”と叫びながらプールに飛び込みました。英国人、キューバ人、日本人、韓国人が列車に乗っていた。
キューバ人は『こんなものうちの国ではありふれている』と、
高級葉巻を窓の外に投げ捨て、
イギリスは同様にウイスキーを投げ捨て、
次に日本人が『こんなものありふれている』と、
韓国人を窓から投げ捨てた。あるスコットランド人が結婚した。
式の後で「牧師さん、お礼はいかほど差し上げましょう?」
牧師は軽く頭を下げ、
「花嫁の美しさにふさわしいだけ…」
しめたと思った男は、たった一ドルの献金。
呆れた牧師は花嫁のベールをめくり、
五十セントを差し出し
「もし、おつりです」問題:ある工場のあるラインでは70%が不良品だ。
では、そのラインで作られた製品を3つ詰め合わせたセットを買ったとき、
一つも不良品が入っていない確率は何%か
答え:
これが日本での話なら
検品で取り除かれるので0%
これがポーランドの話なら
彼らが不良品であることなんて気づくものか。0%
これがイタリアの話なら
彼らは運送中に落として壊す。80%
これが韓国の話なら
解なし。 韓国に不良品が70%しか存在しないラインなど存在しない。神がイタリアを作られたとき、大天使ガブリエルが神に抗議した。
「神よ。 なぜイタリアにだけ、これほど恵まれた気候、肥沃な大地、
美しい景色、絶對高潮カプセルすばらしい風景など与えられたのですか? 他の土地に比べて
イタリアは恵まれすぎています」
2010年08月19日
除脂肪体重が増えれば実質的な基礎代謝
ジョギング1時間はかなりいい運動です。というよりそれだけでじゅうぶんです。終極痩身カプセルそれをこなせてればフルマラソンだっていきなり完走できますよ。
基礎代謝を上げるために これ、上がったかどうかをどうやって判断するんですか?
基本的に、基礎代謝って体重に連動してが増えれば増えるし、減れば減ります。
もっと細かく言えば、除脂肪体重が増えれば実質的な基礎代謝は増えたといってもいいですけど、どうやって判断するかが問題です。
ま、筋肉増やせばいいですけど。運動で下半身を細くするためには?
25歳男性です。身長168cm、体重65km。
高校までずっと野球をやっていたせいか、
一般的に言われる『下半身デブ』の体系です。
近年、男性も細身のファッションが流行っています。
自分も股下浅めのローライズタイプやスキニージーンズに
タイトジャケットスタイルでオシャレを楽しみたいのですが、
なにしろ上記体系のために、パンツが全く履けず
いつもストレートジーンズにゆったり目のシャツなどの
ファッションになってしまいます。
このような体系の自分の下半身が細身体系になるためには
どのようなトレーニングをするべきなのでしょうか?
太ももを細くすることは難しいと思われます。トレーニングによっては、アウターマッスルが鍛えられ逆に太くなる可能性もあります。天天素難しいとは思いますが、筋肉を落としインナーマッスルを鍛え、代謝を上げるのがよいと思われます。
2010年08月17日
一応野菜を中心とした適度な食事のこと
私が体験者です。
何か一つでもヒントになれば幸いです。終極痩身ダイエットがんばってくださいね!
そうですね。お金がないなら、プロテインからチャレンジしてみるといいですね。
運動はきつくなく、ホントに体操程度で。じわじわ体に染み込ませていく感じです。
食事は、ビタミン、ミネラルサプリを取っていれば特に気にすることはないかと思います。
ビタミンミネラルを省くならば、極力野菜中心で
あと、肝心なのが間食です。
間食を続けていたらすべてがパーです。何やっても無駄です。
でもスイーツとか食べたいですよね。
週末は食べてもいいって決めるとなかなか持続します。
きついなら、月曜と火曜だけは間食しない!とか
間食をしなくなるコツは。
「ガマンする」じゃなく
「間食してない人になりきる」です~
自分でできる低いハードルを少しずつクリアしていけば
絶対大丈夫ですよ。
ダイエットに適したおススメのサプリメントはありますか?
去年、うつ病にかかってしまい、その治療としてホルモンに影響のある薬を処方され、飲んでいました。
その副作用なのか、食べる量、動いている量自体は大して変わらないのに薬を飲み始める前と飲み始めた後でトータル16Kg程も太ってしまいました。
さすがに+16kgという数字にあせり、よくある広告のダイエットサプリメントを購入しようかとも思いましたが、知恵袋でそれらの質問の回答を読み、楽して短期間で痩せる事はありえないと言う事に気付きました。
なので、1年程をかけて食事基本で痩せようと思うのですが、サプリメントも正しい使い方をすれば味方になると思いますので、その手助けになるようなサプリメントはありますか?
運動が大嫌いなので特別なにかをすることはしませんが、一応野菜を中心とした適度な食事、間食はしない、飲み物はお茶系、ある程度規則正しい生活というのを心がけようと思っています。
今考えているサプリメントはL-カルニチンやコエンザイムQ10、アルファリボ酸、プロテインです。
あと、脂肪燃焼便秘症気味なのでそれを解消するのもダイエットに繋がるかもしれません。
2010年08月10日
自分に合ったクラスや好きな運動を選ぶこと
はじめは難しかったポーズも練習を続けていると
柔軟性が高まったり終極痩身足腰が強くなったりすることで
慣れてきました。
筋肉痛もなくなってきました。
スタジオプログラムは時間があるときに
やさしいクラスから色々とお試ししてみて
自分に合ったクラスや好きな運動を選ぶといいと思います。
あと同じ運動をして、同じ筋肉ばかり使うと
疲労がたまったり、怪我につながることがあるので
お休みを入れたり、違う運動をしたりするといいと思います。
無理をしないで少しずつ身体を慣らしてください。
ヨガのポーズがきついのは太っているからです。
私もあなたと同じくらいの体重のときは肉が邪魔をして大変でした。
10キロぐらい痩せるといろいろなポーズが楽にできるようになりますよ。
やはり運動だけで体重を落とすのは大変なので食事管理をしながら運動すると自信がついていろいろトライしたくなると思います。
頑張ってくださいね。
ウォーキングをしていたなどのことがあれば、少しぐらい体を使っても筋肉痛になったりはしない。
と、いうことは、そのくらいの運動で筋肉痛になるのは運動不足であるということ。
筋肉トレともなると、スタジオレッスンで使う筋肉とは違うところだから、慣れないうちは別の部分が
痛くなる。
22歳。女です。私は、フトモモの浮腫が酷いです。朝起きた時は、フトモモに空間があるのですが、夕方頃になるとピタッとくっついてしまいます。夜になると本当にビックリする位太いです。リンパマッサージやスクワットなどしているのですが効果がありません。どうすれば解消できるのでしょうか?
白砂糖の入った甘いものジュース、インスタントコーヒー、牛乳、緑茶、生野菜 南方果物、冷えた物などの体を冷やす冷性食品を控え、天天素和食中心で根菜類や温野菜、発酵食品、色の濃い食品、未精製の食品などを気をつけて摂ると良いと思います。
2010年08月09日
どんどん太くなると聞いたことの心配
下半身太り、特にセルライト撃退についてのです。
私は上半身は結構スリムなのですが、26 薬下半身太りがヒドいです。
夕方になるとかなりむくみます。
世に言う”セルライト”もあり、これが原因かなと思います。
エステで痩身できるほど収入も無いので個人でなんとかできないかなと思いますが、どういった方法が有効でしょうか?
やはり代謝を上げることが第一優先と思いますが、”セルライト”撃退にはマッサージも必要だということは言われました。
某エステで「お試し」をしてカウンセリングを受けましたが、とても支払っていける金額ではありませんでしたので。
セルライトはお風呂でマッサージしてください。ソニプラなどでローラーなども売っています。
セルライトは落としにくいものです。セルライトを指でつまむようにしてやってみては。
つまむとプチプチと音がしてつぶれる方もいるそうです。
むくみも、お風呂でマッサージしなければどんどん太くなると聞いたことがあります。
あとは、水分をとって塩分をとらないようにすると、むくまなくなります。
一時間にコップ1杯分お水を飲みましょう。小顔にも効果があります。
地道に辛抱強くやることが大切です。
私の悩みは、下半身が太いことです。
色々、ダイエットや体操、ストレッチをしてみても、上半身には効果があるものの、下半身はなかなか痩せません。
どうしても、スリムな足になりたいです。
昔、腰を痛めて整体に通ったことがありますが、私の骨盤はずれている、と言われました。
もし、それが原因で下半身だけ痩せにくいのであれば、是非、骨盤矯正をして、下半身ダイエットに成功です。
もし、終極痩身カプセル家で行える体操方法やダイエット方法があります。
2010年08月09日
患者の心理に打ち勝つ障害を助けていること
表面の発生影響もしだけといえばに対して、それならあまりにそれをばかにしました。 媚薬蟻王多くの時ため、乾癬も患者の心理に影響して、他の人の患者に対する態度に影響します。 米国放送会社(ABC)の1篇の文章は、医者は乾癬に対応する時、簡単に研究してどのようにそれを治療しないでください、考慮に入れてどのようにまで患者の心理に打ち勝つ障害を助けて、自信を再建すると指摘しています。
乾癬の患者にとって、最もまずい事は他の人がいつも彼をよけていることに勝るものはありません。 多くの人が伝染することができると思うため、乾癬の患者がとても衛生的ではないと感じます。一つは137名の中で度と厳重な乾癬の患者に対しての調査の表示して、26%の患者は彼らが病状の強めるその前の数ヶ月間の中でいつも上述の“待遇”を経験すると言います。
人々のが帰って避けてのは患者にても苦痛の感じと譲ります、患者はよく更に1つの健康な自己のイメージを維持しにくいことを発見します。患者ははにかむことの、ありません助けて、行き詰まって、怒ることができて、あるいは自分でとても失望していますに対してのを感じまいす。彼らはいつも他の人の自分に対する見方を心配して、社交活動を回避して、巨大な心理の圧力を形成して、甚だしきに至っては病状に強めさせます。表示を調査して、60%以上の患者はこのような圧力が病状の悪化する原因だと思っています。
自信を再建したくて、1つの方法は親友の支持を獲得します。そのほかに皮膚病に専門家を教えてもらいます。
もしあなたは乾癬の患者だならば、そんなに医者と交流する時、彼らにこのような問題を聞くことができます:
1、1人の乾癬の患者を受け入れる友達に(入院中に知り合った友人)しんいちつぶしんを閉じ込めるように推薦することができるかどうか?
2、生活の質を改善することができるどんな良い治療の方法がありますか?
乾癬の患者にとって、最もまずい事は他の人がいつも彼をよけていることに勝るものはありません。 多くの人が伝染することができると思うため、乾癬の患者がとても衛生的ではないと感じます。一つは137名の中で度と厳重な乾癬の患者に対しての調査の表示して、26%の患者は彼らが病状の強めるその前の数ヶ月間の中でいつも上述の“待遇”を経験すると言います。
人々のが帰って避けてのは患者にても苦痛の感じと譲ります、患者はよく更に1つの健康な自己のイメージを維持しにくいことを発見します。患者ははにかむことの、ありません助けて、行き詰まって、怒ることができて、あるいは自分でとても失望していますに対してのを感じまいす。彼らはいつも他の人の自分に対する見方を心配して、社交活動を回避して、巨大な心理の圧力を形成して、甚だしきに至っては病状に強めさせます。表示を調査して、60%以上の患者はこのような圧力が病状の悪化する原因だと思っています。
自信を再建したくて、1つの方法は親友の支持を獲得します。そのほかに皮膚病に専門家を教えてもらいます。
もしあなたは乾癬の患者だならば、そんなに医者と交流する時、彼らにこのような問題を聞くことができます:
1、1人の乾癬の患者を受け入れる友達に(入院中に知り合った友人)しんいちつぶしんを閉じ込めるように推薦することができるかどうか?
2、生活の質を改善することができるどんな良い治療の方法がありますか?
